「最悪」
なんで雨とか降ってくれちゃってるわけ?ホント信じられない。なんであたしの傘ないの。誰だよ盗んだ奴。見つけたら殺してやる。どうやって帰れっつんだよ。
「どうかしました?」
えっ、なんで居んの君?あれだよね。高瀬くんだよね。あの有名な高瀬くんだよね。あたしなんかと喋っちゃっていいの。
「傘盗まれたみたいなんだよね」
「入ります?」
「いいです」
「このままじゃ帰れないっしょ」
「帰れないっすね」
じゃあ送ります。とか嬉しい言葉をくれちゃう高瀬くん。なんだかんだ行って入れてもらうあたし。ファンに殺される。傘盗んだ奴殺す前のにあたしが殺される。
「濡れてません?」
「高瀬くん肩濡れてますけど」
「あぁ、俺は全然大丈夫です」
何が大丈夫なんですか?君、桐青のエースなんだよ。あたしみたいなちんちくりんより自分を大事にしてほしいんですけど。
「ありがとうございます。」
「えっ、なにが?」
「その、送ってくれて」
「いや、別にいいんだけど」
「じゃ、じゃあ」
「また一緒に帰ってくれます?」
「…も、もちろん」
勿論とか言っちゃったよ。本当、ファンに殺されんなこれ。
でも、盗まれたちゃったよ。