隣の席の高瀬準太はモテる。私には何故だか理解出来ない。だって、隣で半日一緒に過ごしていても、彼は普通の男子校生以外の何者でもないからだ。
友達にアレのどこがいいの?と聞いた事がある。そしたら、高瀬くんの良さが分からない何て人間じゃない。なんて言われた。分からないだけで、私は人間以下になってしまった。
「なぁ」
「…」
「なぁ、って」
「わ、わたし?」
「そう、苗字」
初めて高瀬準太と会話した。彼と話す機会なんてずっとなかったものだから正直驚いた。何故機会がなかったかというと休み時間は彼の席に女の子達や、部活の先輩らしき人達が沢山集まるから私は自分の席でゆっくり出来ないのだ。まとめて言うと彼は人気もので、私と絡む時間は全くないし、私と話す必要もないのだ。
「教科書見してくんね?」
「え、あ、どうぞ」
教科書を忘れたらしい彼に教科書を差し出す。そしたら、苗字見えねぇじゃん、と言い机を引っ付けてきた。何故だか、胸がドキドキした。
授業が終わるまで私の胸のドキドキは止まらなかった。きっと、男に縁のない女だから男という存在にドキドキしてしまっただけなんだと思う。
「サンキューな」
「あ、いえいえ」
「お礼にこれやるよ」
そう言って渡されたのは小さなキャラメル。何故、キャラメル?
「…ありがとう」
「苗字キャラメル似合うよ」
いつもはクールな彼が、私に向かって笑った。もう机も離れているのに胸がドキドキした。
何故だか、彼がモテる理由が少し分かった気がする。