海行きたい。彼女の一言で来た海。泳げるような海じゃないから人はいなかった。どこか寂しそうな顔をして座り込み海をじーっと見つめる彼女。そんな彼女を見ていたら何故だかこいつ死ぬんじゃないかと思った。
「高瀬」
「ん?」
「海は広いね」
「だな」
「あたし海好きだよ」
「俺も好きだよ」
そっか。なんでそんな悲しそうな顔すんだよ。なんで泣きそうな顔すんだよ。海なんか連れてくるんじゃなかった。
「あたし、死ぬ時は水死がいいな」
「なんだよそれ」
「自分が死んでいく感覚がある方が幸せだよね」
「帰ろ」
「…うん」
多分、彼女は死にたいんだ。何故かは分からないけど。
あぁ、俺ちっせーな。