この春の顛末


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02





(天城視点)



「たなか...っ、ぁ、学校で最後まで…シたくないってば…!」

声が震える。田中は容赦なく手で何度もシゴいてきて、抵抗する力が抜けたとたんに押し倒してきた。

「天城もギンギンじゃね 」

田中は聞く耳もたないって感じで、すぐに指を入れてきた。

「ひっ、ぅう…」
「だいぶ慣れてきたじゃん、ここ。挿れちゃっていい?」
「ま、まだ…ダメ…っ!ひぅ!」
「ごめん、挿れちった」

挿れると同時に、思い切り奥を突かれて頭がチカチカする。

「....っ、はあ... ゃ…」
「天城が腰振って。 俺見てるから」

田中はこういうとき、 ぜんぜん優しくない。

俺に余裕がないのをわかってるくせに、体位を変えて勝手に膝に乗せてくる。

「……ぅ、あ…」
「なにその動き、 ガクガク過ぎてウケる0点。 仕方ねえから手伝う 「わ」
「...っ、あ…んぅ」

場所は理科準備室。 最近、学校にいても容赦なく呼び出してくる田中。
他の女子を呼べばいいのに、なんで俺ばっかり。 文句を言おうかと思ったけど、 出るのは高い声ばかりで。

それでもこうやって思いっきり自分を傷つけてみたせいか、この数日で、 ちょっとだけ胸の痛みに慣れてきたような気がする。



ーーー


(高良視点)


環境委員の仕事で、 遅くまで資料をまとめていた日。 放課後の教 室で気まずい空気のなか、田中の香水の匂いがしてふと顔を上げた。

そのとき、天城の首筋にくっきりと赤い痕があることに気づいた。そこをジッと見つめていると、 天城はサッとその痕を隠す仕草をする。

………俺もそんなとこに、痕なんか付けたことないのに。

「田中と付き合ってんの」

踏み込んだ質問をした。

「え、なんで田中…?」
「別に。 最近よく一緒にいるの見るから」
「..... 付き合ってないよ!」

付き合って ないね。天城のことだから匂わせるつもりとかないだろうし、無自覚なんだろうけど。


「これなに」
「うわ…っ」

焦れったくなって、 首筋の痕にそっと指先で触れる。

なにこれ、 苛立ち?嫉妬?よくわからない感情がない混ぜになっ って、吐きそう。

「田中につけられたやつ? 付き合ってないやつとはヤるの天城って」

自分でも分かるくらい、 余裕がない喋り方。

ダサすぎ、別れたやつにこんなこと言うのがみっともないことく らい、自分でもよく分かっている。

「…なんで高良に、そんなこと言われなきゃいけないん」

泣きそうな顔をする天城。

俺から振っといてこんなこと言うの、意味がわからないのはわかってるけど。

「別れる前に訊いたこと、もう一度聞いていい?」
「え?な、なに…」
「…俺とはできない?」

今さら、最低なこと言ってるのは分かってる。 でも、 付き合ってないならまだ、 入る余地があるんじゃないかって。

「え。俺たち別れ…」
「田中とできたなら、俺ともできるじゃん」

天城を椅子から引っ張りあげて、 床のうえに押し倒す。

目を見ると、 もう前みたいに何をしたらいいかわかんないって顔 じゃなくて。

「……抵抗しないの」

なんでそんな泣きそうな顔すんの。 苦しくて頭がおかしくなりそ うになる。

「こんなかたちで、したくなかった」

天城が、すすり泣くような声で言った。

キスをして、首筋を噛む。 首筋についたキスマークより、もっと痛々しい歯型をつけて。



END






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