この春の顛末


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入れ替わりパロ




※ゆうやと天城が入れ替わる話です。


(ゆうや視点)

あれ、何処だっけここ?ふと気がついたら、何となく見たことがある廊下にぽつんと立っていた。

ここってあれじゃん。文化祭で来たことがある、柿本さんたちが通ってる高校。

もしかして俺、柿本さんに会いたいって気持ちだけでワープできるようになっちゃった…?

急に慣れない場所に来て、だんだんと不安になってくる。

「…天城じゃん。どした? まだ帰ってなかったの」

背後から、聞きなじみのある声がして振り返る。すると、制服姿の高良パイセンがいた。

た…助かった!

「うわーん、めちゃくちゃ不安だったー!」

安心してしまったあまり抱きつくと、ギョッとして固まる高良パイセン。

あれ?いつもみたいに払い除けられない?

抱きしめられた状態のまま高良パイセンの顔を見上げたら、ビビるくらい目を見開いていた。

え、何このリアクション。

「退いて天城。離れて」
「ええええ…?」

真顔で言われて、シュンとする。

そんなに怒らなくても良いじゃんか、俺だってなんでここにいるのか分からないのに。

高良パイセンの馬鹿。

「え、ごめんって。泣かないで」

涙目になっていると、急に高良パイセンに手を掴まれる。次の瞬間には、目の前の2-Aと書かれた教室に引っ張りこまれた。

「はい、仲直り」

教室に入った瞬間、いきなり高良パイセンに抱きしめられる。

え、正直めっちゃ鳥肌がヤバい。めちゃくちゃ甘やかされすぎて怖いわ、誰だよ。

俺が知ってるパイセンはこんな優しくない。

涙も引っ込んだけど、高良パイセンに頬を撫でられた。

あれ、明らかに触り方がやらしくない?しかも服の下に 手を入れられて…。

「だ、だめ!こんなこと、柿本さんとしかやらない…!」 「は?」
「え?」
「柿本…?」

何が起こっているのかはわかんない。

でも、高良パイセンがキレそうなことだけはわかる…!なんかヤバい!

「ごめん天城、でっかいメロンがなんだって?」
「はい?」
「…柿本とこんなことしてんの」
「え、うん…」

高良パイセンが立ち上がる。

「とりま柿本を殺してくるから待ってて」
「え!?…ちょ、やだやだ!だめだって!」

俺が呼び止める声も聞かず、高良パイセンはそのまま立ち上がって教室から出て行ってしまった。

教室にぽつんと一人、取り残される俺。

え、…え?なんかよくわかんないけど、高良パイセンと柿本さんが喧嘩しちゃったらどうしよう…!

真っ青になっていたら、また教室の扉が開いた。

「あれ?天城じゃん」

笑いながら入ってくる兄貴。

「お疲れ。高良がさっき、すげー顔して出た行ったけど。修羅場?」

いや、キレてる友達を放置かい。

「助けて、やばい」

泣きそうになりながら兄貴の袖を掴むと、いきなり黙り込む兄貴。

え、今日なんでみんなそのリアクションなん。

「いや、やっぱ可愛いな。別れたら一発よろしく」
「は?無理」

弟に何言いだしてんだこの兄貴。

「急に辛辣。笑 見てみろ俺のテクニックを」
「ギャー!」

急に押し倒しそうとしてくる。きもい無理!何なんこいつ、頭狂いすぎ!

「兄貴やめて!」

びっくりした弾みで、思いっきりキックする。

「いって。…今、兄貴って言った?」

ガシッと頭を掴まれる。シッと目を見られて、ムカついたから睨み返してみた。

しばらく無言で見つめあう。

「…もしかして、ゆうや?」

何寝ぼけてんだこいつ。

===


(天城視点)


「ま、待って待って…!」

なんで俺、柿本に押し倒されてんの!?どういう状況なん。

「照れてんの?可愛い」
「ちょっと、無理だって。ひぃっ」

首筋に吸いつかれた。痛い、何これ。もしかしてキスマークつけられてる?

心臓が悪い意味でバクバクしてる、柿本こわい。

「どうしたん柿本、からかってる?」
「は?全然ガチなんだけど。っていうか、柿本ってなに、呼び捨てクソ生意気じゃん」

本当に目がガチじゃん。呼び捨てに怒ってるの?そもそもここ何処なん、誰んち?

「か…柿本…さん?これから何すんの…?」
「は?なに、言わせたいの」

ダメだ、高良みたいにやめてくれる雰囲気がない。服の裾をめくられて、上半身が丸出しになる。

「や…やめて!だめ!」
「なに、この前のこと根に持ってんの?舐めすぎた?笑」
「本当に無理、好きな人以外とこういうことしたくない」

首を振ると、ピタッと止まる柿本の手。あ、やめてくれそう?

「は?誰のこと言ってんの」
「え、言えない…けど…っ痛い」

手首をぎゅっと掴まれた。痛い、柿本マジで怖すぎて泣きそう。

「言わないと、無理やり犯しちゃうけど」

柿本が上に乗っかってくる。首筋をペロッて舐められて、背中がぞぞぞってした。だめ、やだ誰か助けて…!

「た、高良!高良が好き!」

そう大声で答えた瞬間、いきなり部屋の扉が開いた。

「柿本、ちょっといい?」

声に振り返ると、そこには高良が立っていた。

よ、良かった…助かった…!

思わず駆け寄ろうとしたけど、よく見たら高良も高良で、めちゃくちゃキレてる顔してる。

「は?俺も話があるからちょうど良かったわ」
「お前、天城になんかした?お前とヤッたみたいなこと言ってんだけど」
「は、誰それ。お前こそ、ゆうやと何かしたん」

え、どういうこと?なんで二人が喧嘩してんの。

完全によくわかんないことになっていて、もうぽかんと見守ることしかできない。

「決めた、高良ころす」
「は?千葉のジャスミン舐めてんな」
「練馬のビヨンセみたいに言ってんじゃねえぞハゲ」

慌てて脱がされかけた服を整えながら、半泣きでベッドの上で小さくなる。

この二人の喧嘩は怖すぎる、誰か助けて…。

「お、やっぱり修羅場やってんな。笑」

事情を把握した田中氏がきて、誤解が解けるまであと10秒。


END




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