「明日、友達と遊びに行くから」

 そう告げると、大和のベッドに寝転んでいた辰杞がバッと顔を上げて、焦った声を出した。

「誰と? 何処で遊ぶの? 帰ってくるのは何時?」

 鬼気迫るような表情で問い詰められ、若干引いてしまう。

「な、なんだよ……誰でもいいだろー。八時には帰ってくるから、心配すんな」

 頭をポンポンと撫でると、腕を捕まれ辰杞の方へ引っ張られる。
 あまりの勢いに辰杞の上に覆い被さるような体勢になってしまった。

「ちょ、ちょ……、むねっ、胸当たってるしっ!」

 大和を離すまいと背中にぎゅっと腕を回し、身動きを取れなくしてしまった。

「なら教えて? 誰と行くの? 場所は?」
「――っ、桃井とっ、スポーツショップに行くんだよ!」
「桃井くんと?」

 正直に伝えると辰杞は腕を緩めてくれた。
 あの柔らかい感触から解放され、暴れている心臓を落ち着かせる。

「チームメイトの為に履きやすそうなバッシュ調べに行きたいんだとよ」
「そっか。じゃあ別れたらメールで連絡してね」
「はい……了解です……」


2012/12/17
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