恋人の家に来ているというのに、宮地はかれこれ二時間ずっとテレビの画面に食い付いている。
 大和は後ろからぶすっとした顔でソファに座っていた。

「なぁー清己ぃー。そろそろDVD見るのやめよーぜー」

 うんざり、という感情を態度に表すように手足をだらんと投げ出す。
 そんな大和を、宮地は気にも留めずテレビから視線を外さない。
 あまりにも放置が過ぎる宮地の背後にそっと近付く。「どーん」と声と共に宮地の体を上から包み込んだ。

「うわっ、なにすんだよ、今いいとこなの! アンコール曲始まるんだからあっち行かないと刺すよ?」

 大和の体を突き飛ばし、クライマックスが始まる直前の映像に見入る。

「刺すとか……なんかシャレになんねーな……」

 気付かれないようリモコンに手を伸ばし、停止ボタンを押してから画面を消した。
 一瞬反応に遅れて後ろに居る大和をひと睨みする。

「おい! オレ今ジョニーズ見てんの!」

 邪魔したら轢くぞ、といつもよりも可愛らしく言われ大和は口を噤むしかなかった。


2012/12/16
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