この刑務所に収監されて、長い月日が経った。出られるまでまだ時間があるが、その代わり良い思いもしている。
 牢屋に入れられると禁欲の生活だと思われそうだが、強ちそうでもない。自由時間に他の囚人と人目の付かない場所でヤることだってできるし、なにより看守がいる。
 力仕事が主な看守は体つきが良い男たちばかりで、太った汚い男なんていない。夜になれば牢屋の中から殆どの囚人が看守を誑し込む。
 そして今夜も――

*

 青峰のお気に入りは、隣の牢を担当している大和だ。優しげな顔つきに反してキツい口調で、筋肉も付きすぎていない長身。

 アメリカに渡って日本に戻るまで幾人もの男を味わった青峰にとって、大和の身体は最高に好みの体つきだった。テクニックもそれなりに巧くて、青峰を楽しませてくれる。サディストの笑みも唆る。

「大和さーん」

 見回りをしていた大和を呼ぶと、にやりと笑いながら青峰のいる牢に近寄った。

「どうした? もしかして今日もヤりたいのか?」

 その整った顔で挑発するような目をむけられると、たまらない。身体の奥底からぞくぞくと欲が這い上がってくる。

「ヤりたいっつったら、OKしてくれんの?」

 頬に大和の手が触れた。耳を掠めて後頭部に手が回る。格子ぎりぎりまで顔を寄せると、そのまま大和の唇が青峰と重なった。
 ――きた、この感覚だ。
 互いに上唇を食んで舌を差し出す。まるで舌に味があるようにしゃぶり尽くした。

「後ろ簡単に入るよな」
「はっ、いつも入れてんだからわかるだろ?」
「ふ、このビッチが」

 ズボンと下着を足元に落とし、丸出しになった青峰の尻を、楽しそうに笑う大和に突きつけた。尻臀を両手で乱雑に揉み拉く。曝け出した青峰の後腔に、鉄格子越しに大和のものが入り込んだ。毎日といっていい程使い込んでいるから、入れるのに痛みも抵抗もない。
 腸壁を擦られる度に、脊髄を甘い痺れが走り抜ける。ごりごりと抉られそうだ。

「もっと……奥もほしい……ッ」
「あ?」
「奥っ、突いてほしい……!」
「……淫乱すぎて引くわ」

 言葉ではそう言っても、大和の腰の動きは早まるばかり。先ほどまで浅く出し入れしていただけが、今は腰の奥まで打ち付けられている。
 奥に埋まると同時に、肌と肌の張り合う音が響いた。

「刑務所に入ってもヤりまくるなんて、相当のセックス狂いなんだな。依存症なんじゃねーの」
「後ろ使ってスんのが……ッ、気持ちよすぎんだよ……。男の、太いやつがなきゃ……生きていけねーな、ッ」

 ラストスパートで、後ろを突かれながら同時に前も弄られ、呆気なく達した。
 もう少し気持ち良い時間に浸っていたかったが、身体が情事後特有の気怠さに襲われているこの瞬間も、青峰は嫌いではない。むしろ好きなのかもしれない。

「じゃあ俺は看守部屋に戻る。お前も後ろ洗って拭いて寝るんだぞ、23番」

 去り際に番号で呼ばれて一瞬で現実に引き戻される。
 冷たい床に放られたまま、数分その場でしゃがみ込んでいた。


2013/07/05 サディスト看守主×ビッチ囚人青峰
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