誰でもいいから、めちゃくちゃに犯したい。高校生の分際でこんな考えを持つのはおかしいだろうが、それほど俺は他人の身体に飢えていた。最低、しゃぶってもらえるだけでもいい。誰かいい相手はいないかと携帯の履歴を探る。 一番上にある名前は青峰だ。以降ほぼ青峰で埋まっている。青峰とは肉体関係を持たない意味で仲が良いだけだから、また別のファイルから名前を引き出す。 次、目に入ったのは森山。こいつには良いホテルと相手を見つける絶好スポットを教えてもらっている。妙に詳しいが、本人は一切そういう事をしてないというから驚きだ。 青峰、森山を抜かすと、俺の性欲を吐き散らせるには丁度良いかなって名前が浮かんだ。――若松。まだ体を重ねたことはない。 まだ授業中だけど、そんなことはお構いなしに呼び出す。電話は可哀想だから、授業終わった時にすぐ気付くようメールを送る。 抜け出してきたのか早く終わったのか、俺の居たボイラー室のドアが開く音が聞こえた。奥へ奥へと進んだ場所に隠れているため、正体が教師だった場合でも見つからない。若松は俺のいる位置を把握しているから直行で来るだろう。 足音が近づいてくる。これは若松だな。 「……いるっすか」 恐る恐る掛けられた声には敢えて答えず、足音を消し陰に隠れながら若松の背後に回る。 「あれ。ここにいるはずだろ……?」 いるよ、ここに。俺が座っていた場に歩み、腰を下ろそうとした瞬間に、背後を取る。 「うおわっ!?」 手で口を塞いで完全に身動きを取れなくする。犯人が俺だとまだ気づいていないのか、全力で反抗している。焦りからか真っ赤になってる若松の耳朶を甘く噛み、口内で舐る。小さく震える若松が可愛すぎて、早くも俺の下半身が反応しそうだ。 漸く解放してやると瞬時に俺から離れ、振り向いた若松の涙目に睨まれた。犯人が俺だと気付くと、はっとして駆け寄ってくる。 「大和さんだったのかよっ、驚かせないでくださいよ! 危うく殴っちまうところだった……」 俺がどんなことをしても若松はキレないし、俺を嫌わない。先輩だからというだけではない、と自意識過剰なことを思う。 「ところで、用ってなんですか? オレ次も普通に授業あるんすけど」 授業の間の休憩時間は10分間だが、そんな短時間で済む行為ではない。 「若松さ、俺の相手して」 「相手?」 ここをどういう事をする場合に使っているか、若松はしっているはずなのにピンとこないのか。自分のことに関しては鈍感だ。 「やろうよ」 「……!! まさか、アレ……ですか」 「そう。アレ」 含み笑いを向けながら若松の表情を観察すると、何故かショックを受けているように見えた。 「なにその顔。お前わかった上でここに来たと思ってたんだけど」 壁際に追いつめる。脇から逃げられないように両手で若松を囲んだ。それだけで若松は怯み、弱々しい光を湛えた瞳を俺に向ける。 「もし突っ込まれるのが嫌ならいいよ」 その時、若松の体から緊張からの力が抜けた。 「オモチャ持ってきてるからね」 この言葉を聞いた瞬間、再び若松の体が強ばるのがわかった。そんなに俺とやるのが嫌なのかと、少なからず落胆する。 「……はあ。そんなに嫌か」 「嫌っす。……やりたくない」 頑張って声を出して答えたのは褒めよう。でも俺の傷ついた心はどうしてくれる。若松のこと気に入ってたのに、若松の処女を奪おうと思っていた計画が台無しだ。若松の初めての反応が楽しみだったのに。 俺は若松を囲っていた両手を外し、少し離れた場所に立った。 「じゃあ授業戻っていいよ」 「えっ、大和さんはどうするんですか」 携帯を出してアドレス帳を開きながら、考える。 「他の奴呼ぶよ。俺の誘い断るやつなんていないしね」 若松を煽るように嫌味を言う。本当はコールをしてない携帯に耳を当てると、慌てた若松が体当たりをしてきた。携帯が滑り遠退いていく。 俺の上に覆い被さった若松が泣きそうな顔をして胸を叩いてくる。 「やっぱりオレがやります! 相手します、だから他の奴は呼ぶな……っ」 最終的には目からぼろぼろと涙を流して、俺の顔の横で啜り泣き始めた。 計算通り。 「当たり前だろ。さっきの携帯は誰も呼び出してないし、最初から若松とやろうと思ってたし」 若松はぐずるのをやめて、僅かに頭を上げた。 「大和さんが優しいのか最低なのか、オレよくわかんねーっす」 気付け、俺は最低だよ。 上体を起こして、膝に乗る形になった若松を正面から見つめる。洟が出ていて可愛い。 「優しかったり最低のクズだったりするから。それより、俺今やりたくてやりたくて仕方ないんだよ。しかも若松を目の前にして、ムラムラが止まらない」 ――だからやらせて? 他の奴に言わせると「色気が出ている」という声色で頼みこむ。今までの流れで肯かない筈がないが、やはり実際に首を縦に振るのを見ると、一気に高揚した。 俺のバッグとブレザーを固い床に敷き、そこに腰を乗せるように若松を寝かせた。バックルを外して制服のズボンを脱がせていく。 若松の下着はピッタリと肌に密着するタイプのボクサーパンツで、若松の形がはっきりとわかる。それが面白くて可愛くて、盛り上がっている部分をするりと撫でた。 「ん、……」 俺の太ももに乗っている若松の足がぴくっと反応するのが、肌が触れているからこそわかる。 指先だけで撫でて焦らす。弱い刺激でさえ反応したらしく、下着の膨らみがぴくぴくと動いた。 「勃つの早いな」 言うと、若松は瞬時に身体を丸め足を閉じた。敏感なのは悪いことじゃないのに。 「う、うるさいっすよ! 触られたらそりゃ勃ちますっ」 「ごめんごめん。別にダメって言ってないし」 若松の足を戻してから下着を脱がせる。モノが出てきたと同時に若松の手で隠された。こいつはどれだけ隠せば気が済むんだろう。 「後ろ慣らすね」 「うっす……」 カバンから出しておいたローションを、掌にこれでもかというほど出し、若松の後腔にたっぷりと塗りつける。 温めていないローションは冷たく、身体を竦ませた。指先を窄まりに宛て、徐々に力を入れていく。緊張で通常よりも硬く閉ざされていて、中々指が入らない。 「若松、もう少し力抜いて」 「は、はい……ッ」 といって簡単に力が抜けるはずがない。はいと返事をしたのにさっきと同じく固いままだ。このままでは俺の性的欲求が爆発して強姦してしまいそうだ。そうならないように、キスで下半身のちからだけでも抜いてもらう。 若松を覆うように、右手は窄まりに宛てたまま、唇を食んだ。驚愕に開かれた目も、舌を入れて口内を掻き回すとすぐに蕩けた表情に変わった。 口に集中しているうちに指を押し入れる。ずっ、と入っていく指に若松は気付かない。 「指はいったよ」 「え? んっ」 教えると、異物に気付いた穴が俺の指を締め付けた。指を増やし、ゆるゆると出し入れを繰り返すうちに、後腔も若松も後ろの穴への違和感に慣れてきたのがわかる。 自分もズボンを膝まで下ろして、下着から自身を取り出した。 「なっ、それを入れるんだよな……」 どうやら俺に聞いてるわけじゃないらしい。自分に言い聞かせるように、「大丈夫だ痛くない」「血は出ない」などと呟いている。 「じゃあ、入れるからな」 己の先端を若松の穴に差し込んでいく。指とは比べ物にならないだろう太さに、拒もうと懸命に締め付けてくる。指のときとは違い、圧迫されることが「処女」を抱いてるって感じがして堪らない。 「くるし、……抜いてくださっ」 「いやだよ」 同時に乳首を弄って下半身の力を抜かせながらゆっくり、ゆっくりと押し進めていった。 苦しそうに息をしている若松の後腔に、根本まで入り終えた。 「若松ー、全部入ったよ。もういいよな、犬みたいに腰振るぞ俺」 告げると、若松が顔を赤くしながら頷いた。 「初めての俺相手に、イライラしてるでしょ大和さん。存分に酷くしてくれて構わないっすから……」 最初とは打って変わり、誘うように腕に触れてきた。 言われた通り、遠慮なく腰をおご化していく。速度を段々と早めると若松も、声を上げてきた。 「ふあ、あああ……ッ、んっ、く、……うあぁっ……」 「ここ教師も通るんだぞ!? もう少し声を抑えろ!!」 焦りつつ若松の口を掌で覆う。突き上げると本来は声を上げている口から、温かい息が掌に当たった。その温かさが変にリアルに感じて興奮が高まる。 「ふ、んぅ、……〜〜〜〜ッ」 一際大きく身体をびくつかせて、若松は射精した。だが俺はまだイっていない。構わずに奥に届くくらい腰を打ちつける。肌と肌が触れ合う音がする度に、若松自身から出切らなかった白い液体が滲み出る。 「んっ、……はッ……」 そろそろという所で腰の動きを早め、ぎりぎりで抜き出して、若松の腹へと吐精した。 自分の腹に出された俺の精液を指で掬い確かめるように見ると、若松は力なく微笑み気を失った。 2013/07/02 とにかく欲求不満でムラムラしている男主に振り回される若松。若松より一つ先輩で、R-18 |