ベッドのスプリングが鳴り響いているのは大和の部屋からだ。かと言って嬌声は聞こえず、獣のような呼吸が交わっている。福井は大和に犯されていた。
 何故ならば、その理由は福井の言動にあった――。


 酒が回り、デロデロに酔っ払った福井は一緒に飲んでいた大和に絡んでいる。飲むのを控えていた大和は苦笑いで福井を窘めるが、調子の乗った福井は口を止めなかった。
 勢いに任せ「大和のセックスってさ、優しすぎだよな! ただつっこんでぇ〜終わりっ! ヘタレてるなぁ」と口走ってしまったのだ。
 それにはいくら温厚な大和でも頭に血が上り、「じゃあ今から強姦してあげる」と福井を押し倒す。

「オレから誘って押し倒さないと致せないあのヘタレな大和がぁ〜? オレを無理矢理犯せるわけねぇじゃん!」

 ケラケラ笑っている福井に、大和はついに堪忍袋の緒が切れた。



「――ひっ……、はぁ、んっ……大和っ……ぅ」

 静かに激昂している大和は福井の体をうつ伏せにし、尻だけを突き出す体勢にした。指一本にローションたっぷりで解してやるという優しさ付きの強姦が始まる。
 痛みも辛さもない強姦は、福井にとってただ気持ちが良いだけでつい強がってしまう。

「大和っ、……んな細っこい指っ、一本じゃ、足んねえよ……っ、」
「面白いこと言うね。喘いでたじゃん。まいっか、痛くしても。最初から優しくするつもりなかったし」

 うつ伏せだった福井の体は、大和の手で軽々と反転させられた。

「――うあぁああ!! ……いっ、たぁぁ……く、」

 内部は一本の指から熱量のある太い刀身に瞬時にして変わり、福井の中に侵入してきた。裂けてしまうのではないかというほど質量があり、内壁をゴリゴリと擦られる。

「いってぇ、よぉっ……大和っ……」
「だから優しくしないって言ったでしょ? 俺、健介の言葉に傷ついちゃったんだから」

 正面に見える大和の表情はあまりに悲痛で、オレは気付かない内にどんな非道いことを言ったんだろう、と酒を一気飲みしたことを悔いた。悔いても意識は朦朧のままで、何も考えられない。

「もっと……っ、動いてっ」

 何気に呟いた言葉は、大和の逆鱗に触れてしまったようで、大和の腰の動きが止まった。一気に物足りなくなり自分で腰を動かす。
 ああ、気持ち良い……。

「健介って……俺以外の誰かと付き合ってんの? 浮気してる?」

 何故そんな疑いを掛けられるか分からなかった。

「してるわけない、だろっ! ふざけん……ぎゃっっ!」

 腰をくねらせ良い所に自分で当てていると、突然乳首を抓られた。あまりの痛さに艶声など出るわけがなく。

「色気無い声出さないでよ……。ほら、喘いで。エロく」

 ぎゅうぎゅうと抓られ、泣くしかない。全然気持ちよくない。痛ぇよ大和。

「うぅぅ……っ、大和、いだい、離しで、手、っいやっあ、んも無理っ痛いからァっ」

 痛みのせいで下半身が萎えていくのが分かる。熱も消え去って、こんなのセックスじゃない。
 やめてと訴えているのに返事も寄越さない大和。指の腹で捏ね回され、引っ張られ、押し潰され、声が引き攣る。相変わらず腰は動かしてくれなくて、自分で動かそうにも抓られている痛みで動かせそうにもない。

「あっ、ん……はぁっ、大和〜。もう、さ、許して? ごめん、オレ大和の事好きだよ」

 腕を伸ばし大和の両頬を包むと、乳首を抓る手が止まった。

「なんだよ……健が悪いのに。まるで俺が悪者みたいじゃん……そんな泣くなよ」

 眼前に顔が迫ってきて、右頬から眦にかけて大和の温かい舌が滑る。目尻をチュッと吸われ、もう片方も乾いた涙を舐め取られた。中に入ったままの大和の刀身が少し大きくなったのに気付き、大和の好きにさせる。
 その後は痛みを与えられる事なく気持よく達することができて、福井の発言も撤回してもらった。


2013/01/24 乳首抓る
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