真一文字に結ばれた清川の唇を指で触る。そのときの清川の顔といったら。



キスしよう




こんなとき自分が年下であることを思い知る。簡単に壁際にまで追いつめられて、座り込んでいる床を手のひらで触る。ひやりと冷たく帰ってくる温度にかまけてはいられない。
「ガミさん、なんすか」
「なにって、なにさ清川」
「はあ?」
「だってもうすることはいっこか2個くらいでしょ?」
「いやそうじゃなくて」
「え?なに」
「だってなんでこんな壁に、」
「雰囲気雰囲気」
かさかさの唇をとなぞるその乾いた親指でさえ、俺にはないような余裕。体温で暖まりきった床はもう反発した温度ではない。この湯気でもあがりそうな顔はどこで冷やそうか。
「顔も赤いよ清川」
「なんとなく自分でもわかるっす」
「恥ずかしいね」
「…別に」
恥ずかしい訳ない。それでもそんな俺を見ているのはガミさんだけ。
「ふぅん」
そんなに唇に軽くふれたのだから、軽く噛みついてもいいのだろうか。でも、噛みつくようなことは、その俺と同じ乾いた唇で十分でしょう。
「なんか俺は恥ずかしいけどね。そんなに抵抗されないと逆に」
「…なんすかそれ」





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