「ね、ごとう」
「なんだ」
「あのさ、ちょいちょい」
 自室から顔を出して手招きで達海は俺を呼んで、行ってみれば腕を引っ張られて部屋に強制連行。生憎今は俺しかいないフロントは静まりかえって、クラブハウスは達海の城。
「どうした」
「うん、まぁここにいて」
達海はテレビの前で座った。俺も隣を借りて座り込むとこの床の残りスペースは無い。
ホワイトボードの上の磁石を並べていく。うちのフォーメーションに並べて、別の色で今度の対戦相手の磁石を動かす。すいすい、ぱちり。
「仕事終わった?」
「もう少しだな。もうちょっと入力して保存したい」
「ここでやれよ」
そのがはやい、と欠伸をかみ殺して達海が言う。欠伸をする時の顔が好きだ。生理的な涙目が特に。
「解ったよ、パソコン持ってくる」
「おっけー」



達海の我が儘はもう慣れたもので、それだけでは無いが全然苦にならない。恋人の我が儘は可愛く見えるのだ。俺を頼ってくれるのだ、と自信を持たせてくれるし、何よりあいつに何かしてやることは俺にとっては重要なことだ。俺はあいつに何もしてやれなかったからだ。そういう自負がある。だから今はなんでも聞いてやりたいし、どんなイタズラも全て引っかかってやりたい。俺が、それで幸せだからだ。
画面に保存しました、と文字が浮かぶと待っていたと言うように達海は俺を床に倒して、上から見下ろされる。
「後藤、」
「ほら。おいで達海」
軽くなった細い体を抱きしめると、明日もこうしていたいと思う。イタズラに達海が胸の上で笑う。この瞬間は、堪らなく好きだ。
「明日は俺んち来るか?」
「…考えとく」





きっと明日も、

(この先も、)

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終わりましたお題ー!難しいお題を我ながら選んだなぁと…そして素晴らしいお題なのにもっとなかったのかと^^;
ゴトタツは最近はラブラブ傾向です。楽しかったです!
お付き合いありがとうございました!



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