篭の鳥のルークは
今日もまたこの屋敷で
一日を初めて終わらせる。

ルークにとって世界は
この区切られた塀の中と
隣のバチカル城だけであった。
つまりルークの知っている人は
親類と使用人。
あとは医者とか、
たまにやって来る両親の
客人とか。
俺はこの子供を哀れだと
思った。
外を知らずに俺に殺される
哀れな小鳥。
そして都合がいいと思った。
この子どもは
一度すべてを失って
戻ってきた。
そして言葉、歩行、
物を咀嚼することだって
俺が教えなくてはいけない。
俺の思い通り。
嬉しくて寒気がした。


「ガイ、ガイはどこに」

「どうかしましたか?」

「る、ルーク様が
泣き止まないのです…」

またか。
俺以外の人間には
殆ど心をひらかない
ようになってしまった。

「ルーク様」

「うーあー」

俺が近づくと
表情を一変させる。
にこにこと笑って、
俺にしがみつく。

「良かった、ではガイ」

「後はやっておきます」

完全に手懐けた子供を
この手に抱いて
首をさわる度に
新しくまた確認する。


ああこの鼓動を止めるのは
この俺にしか出来ない、
ずっとそばにいてやるから
いつか、いつか

「俺に殺されてくれよ?」

「あー?」

まだ、言葉もわからない
この哀れな小鳥に






ゆめみることり



(まだ愛してるのに
気づいてないんだ)



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復讐のガイ。

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