「わぷ、」
キャンプの罰ゲームの300メートルの途中で、ばしゃりと顔面を水が叩いた。
光の入射角で短く見えるゆらゆら歪んだ下半身。着替えのときに見た水着。
「アホ顔」
「うう…ザキさんひどいっす」
「早く泳げよ、待ってんだからよ」
「は、はい!」
ザキさんはばしゃ、と水に沈んで平泳ぎで消えていく。
罰ゲームは無かったけど、暇だし、自主トレ。と言ってさっさと着替えていた。
ゆったり平泳ぎする姿は、なんというか俺的にはとてもかっこいい。
俺の隣にゴーグルをした世良さんが泳いできて、ちょんちょんと俺を突っついてくる。
「待ってんのあいつ?」
「ウス」
「なんか余裕だなーうぜー」
「聞こえますよ世良さん」
「椿は幸せそうだしなー」
え、と声を漏らすとどぼん、と世良さんは水中に消えてばた足の飛沫が上がる。それを顔面にまた浴びた。
水で冷却できないほど顔は火照ってほとほと困る。
ノルマは残り100メートル。残りの四往復はクロールで済ませようと壁を蹴った。



「はいよ」
「あ、ありがとうございます!」
見慣れたスポーツドリンクをキャッチ。いくら椿だからと言っても洞察力はスポーツ選手。まあたまにすげえバカだけど。
キャッチしてからへらりと椿が笑う。にこにこして着替え始めるもんだから、始めてみるその態度にどきっとする。
「なに笑ってんだよ」
「何でもないっす」
「言えよ」
「言ったらザキさん怒りますから言わないっす」
俺が怒るようなこと考えてんのか。つか俺はそんなに怒ってんのか。
「言えよ怒んねえから」
「や、いやっすよ」
「椿」
へんなことすっぞ、って言ってやったら顔真っ青にして唸って観念したらしい。
「か、かっこいいって思っただけっす…」
「なにが」
「えっと濡れてて普段と違って…あれ、」
怒るってのはあれか。俺が照れ隠しにやってしまうあれのことか。
「おこんないっすか?」
「んだよ恥ずかしいなお前」
照れ隠しを腹の底に押さえ込むと、椿が優しい顔で手をつないでくるもんだから、照れて仕方なくて顔を隠すために抱きしめた。
その後世良さんにキヨさんが恥ずかしい状況を見て慌てていたのを知らされたのは運が悪かったとしかいいようがない。






水も滴る


(で、キヨさんはどっからどこまで見たって言ってんすか)
(言えよ言いませんってやりとりのあと、へんなことするぞって赤崎が言ったからやばいと思ってこっち戻ってきたって)
(…はぁー)
(ざ、ざきさん!)

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アニキリのピカアアンが忘れられない赤崎ドヤッ



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