いわゆる達海組。よくマスコミやサポーターが呼ぶ若手組。それに対して去年までのレギュラー勢の揃うベテラン組。俺は若手でガミさんはベテラン。思えば、去年同じピッチに立ったのは、後半からとか。そんなもん。いつまでも追っかけていた。追いつけるように走り回っていた。そんなの。


「コッチおいできーよー」
「…なんすかそれ」
思わず吹き出してしまったが、お言葉に甘えて、隣に座った。場所、自宅。時間、もうすぐ9時。ソファーに座ったガミさんは俺を横に座らせて膝に頭を乗せてテレビを見る。横になったガミさんの足は完全にソファーから出た。
「相変わらず鍛えた足だねぇ」
「柔らかくねぇっすよ」
「ん…いいのいいの。キヨだから」
ぐりぐりとわざと太ももに頭を押し付けて笑う。つられて笑った。

「俺レギュラーになりたくて、ずっと走ってました」
「スタミナあるもんねー。俺そういう頑張り屋なとこ好きだよ」

ガミさんはなんでさらりと好きとか言うのか。照れるのを誤魔化しつつ続けた。続けなきゃ、またからかわれる。

「レギュラーもあるけど、ガミさんも格好良くて憧れで」
「うわー殺し文句先輩嬉しくて泣いちゃう」
憧れ。そんな言葉じゃ言えないくらいだった。サイドを駆け上がる姿を。正確なパスを出せる視野を。判断力も。でも、近くに寄ってみてみたら、年だ、とかいって笑ってた。こんなもんだよ、とか飄々としていた。まるで違った。遠くで見た背中と、近くでみた正面は、まるで違った。

「身近で、戦いたくて。ガミさんと。必死ですよ」
「そっか。もしかして、期待はずれ?俺って」
「まさか。寧ろなんかほっとしましたよ。一緒に戦えるかもって」
「なんだそれ。なんか俺はずっと石浜絡みだと思ってましたよー清川君」
「今はそれはありますけど、昔はガミさんっすから!」
「あーちょーうれしいその話」
そうやって笑う顔を、ピッチで見たくて、俺は。これからも、あなたの隣で。
「もっと頑張るっす」
「程々でいいよ」





肩を並べて戦う日々を


(背中を追いかけるのは、もう十分だ)
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ガミさんのプレーを若手キヨが尊敬してたらいいなぁと思って。





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