「あはは!あんなにタッツミーに言われたら無理ないよねぇ」
「うるせえ」
「まぁそんな心だから、癒しがいもあるんだけど」
グラウンドではそこで会話は切れ、ジーノは姿を消した。背中を見送って、練習後の日課のトレーニングルームへ向かった。


 苛立たしいことがこうも続くと本当に壊れてしまいそうになる。昼間監督にずばりと言い当てられその腹立たしさを引きずって夕食をとった。(一人暮らしの俺は料理もロクにできないから大概は外食だ)家に帰ると、真っ赤なあいつの愛車の外車。合い鍵は持たせてあるにしても随分と急すぎやしないかなんていう常識問題が通用しない顔を思い出してため息をついた。ああ幸せ逃げるとか言われたなと回顧しながらドアを開けた。

「おいジーノ」
「なんだいコッシー」
「なんだじゃないだろう、前もって連絡くらい」
「連絡いれる暇もないほど急に来たくなったのさ。嫌かい?」
「…」
嫌だと言えないのもなんだか苛立たしい。鼻孔をくすぐるような嗅ぎ慣れない匂いに顔をしかめた。
「コッシーが疲れてるかと思ってね。ハーブティーを入れにきたんだよ。前に飲んだだろう?」
「ああ…」
疲労回復に効くから、と広報に勧められたこともあったか。
「夕食は済んだかい?」
「ああ」
「そっか。それならよかった。今夜は早く寝るんだろう?早くシャワーを浴びてくるといいよ。寝る前に飲むといいからね。僕はそれまで自由にさせてもらうよ、コッシー」
テーブルには銀色で背の高さが揃った四角い缶が並んでいた。




「どう?コッシー」
「ああ…正直味はわからない」
「いいさ。リラックス効果さえあればね。」
「…お前も飲んでリラックスすればいい」
長い睫毛の付いた目を大きく開いてそのあとにこにこと笑う。これはしょっちゅうする顔だった。
「今日は君のそばで寝ても良いかい?そっちのがリラックスできるんだよ」
「構わないが」
ハーブティーをまた一口口に入れた。俺も大分こいつに惚れ込んでしまっているらしい。そんなことは普段やすやすと言葉にはできないが。(安っぽい言葉はいらないよ、とジーノにいわれたことがある。)
「ちょっと甘やかされたいなぁ」
「ハーブティーの礼にな」
「つれないねえ。素直に伝えてくれてもよくないかい?」
「なにをだ?」
「コッシー、すっごく抱きしめたいって顔してるんだよ?」
振り回されて、迷惑がって、それでも手放せない。安息の地はどこだ。







安息模索


----------------
コシジノです^^
テーマはリラクゼーション(笑)
村越はサッカーしてると息が詰まりそうに見えるジーノと甘んじて受ける村越。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -