驚くほど純粋な付き合いをしていると思う。青臭い、中学生のようだと思う。でもやることはやったし、それなりにうまくやってるはずだ。大体なんでこの年齢にまでなって手繋ぐだけで真っ赤になるんだよ。俺までつられたじゃねえか。
椿も俺に慣れれば普通にしていて、(キョドってるのは初めだけだった)今じゃ一緒に散歩だって行く。コンビニ行くの間違いかもしれないけど。
そんな訳で、今日もコンビニに向かっている。6月。梅雨の中日でよく晴れている。水溜まりを避けて歩いていく椿はなぜかとっても可愛らしい。




 6月最後のオフ日。今日はザキさんの家に来た。何度か足を運んでるうちにすっかり慣れて、今ではなんの気兼ねもなく遊びにいける。前は緊張して仕方なかった。ザキさんの優しさやら、格好良さやらにふれているうちに、俺は本当にザキさんが大好きになってしまったようだ。こんなに好きな人ができたのは初めてだから、どうしたらいいかわからないが、とりあえずは2人並んで生活できることに喜びを感じていた。

 コンビニに行くために、2人で大きな通りに出ると大きな鐘の音がする。通りに面した真っ白い教会から聞こえる音だ。
「結婚式でもやってんのかね」
「あそこ出来るんすか?」
「先輩の結婚式あそこの出たことあるんだよ。そういや6月って良いらしいな。」
「なにがっすか?」
「結婚するのに」
そんな話は初めて聞いた。関心しながらまた白い教会を見る。あそこだけ際立って明るい。
「なに椿結婚したい?」
「えっお、おれっすか?」
「うん、お前」
目の前の恋人はなかなか意地悪だなぁと思って2センチ高いザキさんの目をみると至って真剣なのでどうしよう、と焦る。
「ざ、ザキさんと出来ないからしません!」
「…はははっ」
吃驚したように数回まばたきをしてからザキさんはいきなり笑うから、なにかまずいことでも言ったかと不安になると、俺より少しだけ大きな手が俺の手のひらに重なって握られた。
「俺も、お前と出来ないからしねえ。」
「う、うす」
「結婚しなくたってずっと一緒にいるんだろ?俺は放さねぇし。一生面倒見てやるよ、大介」
そんな格好いいプロポーズドラマでも聞いたことない。改めてザキさんのかっこつけに幸せを感じつつ、同意を込めて繋がれた手の指に力を込めた。今ならあの白い教会の綺麗な花嫁よりも、幸せな自信がある。







6月の花嫁

(一生幸せにするから)
(幸せになろう)

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ザッキーなら言いそうなことを考えてみた。




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テーマ「人外ファンタジー」
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