持田さんは独占欲の塊だ。何しろ一緒にいるときに携帯を覗くことさえ嫌がる人だ。だから、こんなことは何時も我慢している。はっきり言って普通の独占欲じゃないから、致し方ないと諦めるけど。
「…や、やりすぎですよ持田さん」
「なに、文句あるの?いい度胸だね椿くん」
大きな咬み痕は鎖骨に深く残り、周りには赤い痕、痕、痕。顎と喉の間に食らいつくように痕を付ける持田さんを見ているといつか殺されそうだと思う。
「う、うあ」
「はは、ウケる」
ちゅ、とがり、という音のどちらかが耳に入る。独占欲の塊の持田さんは自分のつけた歯型を確かめるように舐めた。
「どう?結構傷物になった」
「い、痛いです」
「だろうね。でもね、まだ足りないんだよ椿くん。もっともっと確かなものにしたい」
べろ、と出した舌は赤をなめた。
「もっともっと俺のものになってよ椿くん。じゃないと気にくわない」
持田さんの独占欲という自己満足を満たす痕は毎度あう度に増える。クラブのみんなは始めは好奇の目で見ていたけど、次第に哀れみ、驚き、心配するような表情へと変化した。ふつうじゃない。世良さんに言われても笑うしかなかった。
「大体、痛いとかなに?ウケる。本当に嫌なら会いにこなけりゃいいじゃんか。でも椿くんは会いに来る。応えてくれてるんでしょ?嬉しいよ」
膨らみのない胸の中心にある突起を舌でなぞる。実際、慣れてしまって快感が勝る。
「ね、椿くん。君も馬鹿だね」
こんな俺に捕まってさ。持田さんは笑顔で呟いた。





君がそれを
愛と呼ぶなら





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