今日はオフの日だ。俺は静かなガミさんと一緒に居る。大概休日のガミさんは静かだ。お気に入りの黒いソファにどっかりと座って、お気に入りの雑誌を読んだり、もうすぐ地デジだね、とか言って二人で見に行った薄型テレビで、撮り溜めた番組を見たり。その横で俺も同じようにゆっくり静かにしている。俺も元々そんなに休みの日に大騒ぎやつじゃないし。
 キッチンを借りてコーヒーを入れる事なんかはいつもの事で、キッチンに向かうと俺のもー、と間が抜けたようなのんびりした声が聞こえる。はーい、と答えてマグカップを二つ。これもガミさんと買いに行ったけど、俺のがどっちだかは忘れてしまった。まあいいや。ガミさんの家にはコーヒーメーカーなんてものはないから、インスタントのを入れる。リビングへ戻るとガミさんは相も変わらずソファでテレビを見ていた。
「どっち清川の?」
「わかんないっす」
「じゃあどっちでもいいね」
ソファから降りて床に座ったガミさんはミルクも砂糖も入れずに熱いコーヒーを啜った。
「清川はさー、面白い?」
「は?」
「満足?」
角砂糖がぽちゃ、と音を立てて真っ黒な水面に消えた。
「何がっすか」
「オフの日に、こうやってだらだらするだけってつまらない?」
何言ってんすかと笑おうとした。ガミさんが、切なそうな顔でこっちを見ていたから笑えなかった。
「俺は」
「ガミさんと一緒に居るときは何もしてなくても一瞬でも無駄だとは思ったこと無いです」
そっか、と眉を下げて笑うガミさんは、なんだかいつもより頼りなくて。
「満足してます」
「ん、りょーかい」
こっそりガミさんが床についていた手に手を重ねた。





生憎言葉は少ないけれど

(それでも傍に居てくれる
それだけで)
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