「今夜は満月か」
「マンゲツッテナニー?」
「フルムーン、で分かるか?」
「ワカッタ」
ぱあ、と晴れるように笑うから、それが見たくてわざと分からないだろう単語を出して会話する。どれだけ教えたろう。どれだけ向こうは理解するだろう。幸いにも韓国語と日本語は文法が似ているらしいから、単語を覚えれば上手く会話が出来るようになるはずだ。
「ホシノハマンゲツ、スキ?」
「チャンスは好きか?」
「ウン、スキヨー。ホシノハ?」
「好きだな、俺も」
「イッショダネー」
にこにこと笑って、少し走って止まった。ゆっくり歩いて追いつく。夜の散歩は今に始まったことではない。チャンスの自主練を見つけたのがきっかけだった。こいつは、誰も知っている人がいない異国の地で1人自分に厳しく生きている。それがなんだか妙に腑に落ちなくて、それからよく2人で練習後に散歩をする。
「…ワタシノウチモ、ツキキレイダッタ」
月をみて思い出す故郷はどんな場所なのだろう。代表の試合でしかいったことのない韓国を思い出しても、全く分からないが、それでも
「みんな見てるぞ」
「?」
「おんなじ月見てんだ」
首を傾げて見つめるまんまるな目を月と重ねて、なにやってんだ俺は。
「ホシノモミテル」
ふふ、と笑って、こいつはなんで
「なんで煽んだよ…」
「アオルッテナニー」
「なんでもない!」
ぽかん、とした顔もまた煽る。なんなんだよ。ちくしょう。





満月に星の光が
かき消されて

(儚いけど)
(絶対消えてくれない光)



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初ホシカン!
難しすぎてわかりません
チャンスはあと2年くらいで
日本語ペラペラになった上に
星野をほのめかす
小悪魔になる予感がします←

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