窪田は猫が好きだった。風のようだ、と思った、ピッチに立つあの人は犬と呼ばれていた。その事実を知った日から、窪田は犬も比べられないくらい好きだと思った。



犬は東に子猫は西に




「猫と犬、どっちがいいかな」
「ペット飼いたいの?」
わはっと笑うと相手は肯定だととってそうなんだ、と相づちをうってテレビの画面に目を戻した。
画面には朝のニュース番組で流れるブサカワ犬。隣に座る相手は頭の悪い犬だと言われていた。でも罵られているわけではない。その呼び方をする人は、悪気はないんだと本人は言っていた。犬だとしたら俊足の顔の可愛らしい犬だろうと思った。

「窪田は猫っぽいね」
「…そう?」
「うん。暖かいところ好きそうだし。日向ぼっことか、こたつとか。」
「椿の隣も好きだよ?」
暖かいよ椿は、と付け足すと、そっか、と笑った。
とん、と横に座る椿に体重をかけて体をくっつける。只膝を抱えて座って、その隣の相手に体の一部を押し当てるだけで全身が温まる気がした。
「あったかい」
「はは…なんか、恥ずかしいね」
「そうだね、ちょっと」
そういった椿を見ると赤い顔が近くにあって、なんだか嬉しくなって笑った。
「でも…暖かいから…いい?」
「う、うん…いい、よ?」
可愛いなぁ。本当に犬だったら、俺が猫だったとしてもこうしていたいな。怖く無さそうな少しびくびくした犬なんだろう。俺に対してはびくびくしないけど、志村さんとかにならすこしびくびくしてそうだ。こうやって丸まって椿のそばにいられたら、どんなにも幸せだろうか。
「椿好き」
「え、あ…お、俺もっ」
真っ赤な彼の手を握って、体温を分けてもらいながら、少しだけ、と目を閉じた。





━━━━━━━━━━━━

700hitキリ番リクエスト
「クボバキ」でした!
ゆりゆりな感じが出ました
でしょうか^^;

翔さまのみお持ち帰りフリーです!


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -