時期設定としては
恐らくはキャンプ直前みたいな。そんなゴト→←タツ。







 達海がETUに戻ってきて、否連れ戻される形で監督に就任してから早数日。クラブハウスに引っ越して数日経った。練習を思い返しながら迫ったキャンプに備えて解いた荷物から必要なものをバッグに詰めていく。思えばこの数年でETUのユニフォームは変わっていた。後藤が用意してくれた監督コーチ用のジャージだって変わっていた。古巣より新居にきたようなきがしてむずむずする。それは後藤に対しても同じだった。



 過去の話をすると、後藤は恋人であった、ということだ。そんな後藤を自分は自分の都合で一方的にさよなら、と告げた。そして最近は久しぶりに会えば結婚した可愛い嫁さんの話をしてくれるんだろうと漠然と考えていた。でもどうだろうか。久々に会えば少しお腹が柔らかくなった40間近い後藤がいて、しかもまだ独身。思わずああしまった、と思った。もしかしたら、俺が自惚れていなかったとしたら。

こつこつ。ドアのノックにどうぞー、と返事をすると何時もの人影。なんだかほっとしてしまってばつが悪い。

「達海DVD持ってきたぞ」
「ん、ああ後藤」
「準備してるのか」
「うん、そだよ」

後藤を俺は待たせているのでは無いだろうか。なんだかとても罪悪感が生まれてきた。自分は後藤のことを忘れたつもりだったのに。こんなに熱い思いがまだ残っていたなんて。

「なー後藤」
「どうした?」
「あ、んー、…後藤はどうしてそうなのかと思って…」
「なんだ?なんの話だ?」
はは、と笑う顔が昔より老けていて、俺が隣に居た頃と時間が経ったと感じる。時間が、過ぎたのだ。10年だ。もう10年になった。離れた時間は俺の気持ちも後藤の気持ちを消せなかったんだろう。風化しなかった気持ちは大人になればなるほど重荷になっていった。

「…俺は待ってるからな、達海。俺はしつこいから」
「へいへい、あーばれてら」
また俺が素直に後藤を好きだと言えたらいいのに。そしたらこんなに苦しいことともさよならだってのに。なんとなしに涙が一粒流れたのは一生後藤には秘密にしてやろうと心に決めた。









応えない、でも
(待ってるなんてばかだ)
(でも)
(救われたのはなんで)
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