木漏れ日の暖かい午後に裏庭のベンチでうっかり眠るのはなにもエースだけではない。約束の時間を過ぎても現れないジャックを探してエイトは裏庭まで来ていた。まったくこいつは。と心の中で悪態をつきながらぐうぐう眠るジャックを見下ろす。
今日は報告書を仕上げる予定だった。クリスタリウムの一角でゆっくり資料を探りながら終わらせてしまう予定だったのだ。勿論報告書などの類が苦手なジャックに手伝ってくれと懇願されたからだ。エイトは真面目な性格だから、期日の二、三日前に完成させていた。端から手伝ってやるつもりは毛頭ないが、そこでうんと言わなければこいつは課題をやらないだろうと推測した。それで約束の昼の二時。
(本当にによく寝てる…)
いつものへらへらした顔ではなくて、意外に真面目そうな顔で寝ていた。口を真一文字に結んでいて前髪がふさふさと揺れている。
エイトはいつもジャックが気になっていた。自分にいつもなにかけしかけてくるし、いやがっても決して諦めたり自分を嫌いになったりしない。そんな風に関わってくる相手と関わるのが初めてだったから余計だ。ジャックが何を考えているかはよくわからなかったし、エイトにとってジャックは謎だらけだった。
(前髪が揺れてる)
今日は柔らかく風が吹く。心地よいのは日も同じで眠気を誘うのはよくわかった。だからといって約束を破っていいはずがない。叩き起こそうと思ったが、なんとなく忍びなかった。
(…おとなしいジャックなんて初めて見るな)
こうしてまじまじジャックの顔を見るのも、こんなにゆったりした午後も、普段と違うお陰でなんだか恥ずかしいような気がする。なんでこんなにジャックは俺を気にするんだろうか。俺の自惚れか。ジャックが俺のことどう思っているのか俺には分からない。
「…」
(…口が動いた?)
寝言なのか。全然聞こえなかった。聞こえないけど、凄く気になった。思わず自分の耳をジャックの耳元に寄せる。
「エイトつかまえた〜」
「なっ」
ぎゅうっと体が抱きしめられたと思ったらそれはジャックの仕業で、俺はジャックの腕の中に自分から飛び込んだとでも言えそうだった。
「お前っいつから起きて…」
「ずっと起きてた」
「なっ」
「あはは真っ赤だよ!エイトかわいい〜」
耳元でだいすきだよ!とかほざいて腕を離さないジャックのことを一発殴りたかったけど恥ずかしくてそれどころじゃなかった。




ハローハローだいすきだよ!





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