夜中の情事というのはやっぱり男である以上定期的にするべきだ、などと言っていつもエイトを組み敷く。別にひとりでしようが(寧ろそういう仲間のが多いだろう)一考にかまわないというのがジャックの考えだった。過去のジャックは、という意味だ。組み敷いたエイトの太腿は白く、よく鍛えられた美しい足だった。思わず笑っていた。
「相変わらず綺麗だねぇ」
「お前も相変わらず変態だな」
「わお。でもエイトノリノリ」
「ふざけるな」
内股を撫でればそんな悪態が飛び出してくる。目の前のグロテスクな性器はなにもそんなことは言わないのに。
「なめようか」
「汚いから止めろ」
「えー嫌がるならやろうかな」
なるほど同じ性別。しかも今回が初めてではないのだから僕だってエイトが嫌がるならなるべく回避したい優しさがある。男が男に舐められて、楽しいことなんかないのだから。
「でもなにもなしにイキナリも楽しくないしねえ」
「…なに楽しくしようとしてるんだ、こんなこと」
エイトはどうも自分の性欲に対して汚いとか、そういう負の印象を持っていた。毎回、毎度そんな言動が見てとれた。終わったらいつもあっさりしたもので、お互い済んだらすぐ普通に寝る。エイトは僕が本当に愛するがゆえにこの行為に及んでいることを知らない。僕が思うに多分生理現象のひとつで片付けてるんだろう。愛だとか、恋だとか、真面目なエイトは疎いのだ。
「別に当たり前のことなんだからあんまり気にすることないのに〜」
「う、うるさい。嫌なんだよ」
「なにが?我慢してると体に悪いって言うからいいじゃん」
「…こんなの、まさに痴態だ」
「…エイト、とんでもなくエロいね今の」
「黙れ」
顔を逸らしていても一気に顔が赤く染まったことをジャックが見逃す筈は無かった。エイトの膝裏に手を添えて体を折りたたむように、胸の方へやった。いつものことではあるが、相変わらずエイトは顔を逸らしたままだ。




前戯もほどほどに、ジャックが腰を進めていく。こんな時には実況するような無粋な真似はしない。ただエイトが自身の中に押し入ってくるものに意識を集中していることに快感を覚えていた。エイトは手の甲で口を抑えてはいるが、ジャックの動きで漏れる声は手の甲だけで抑えられるようなものではないのだ。
「…苦しかったら言ってね」
「苦しい」
「えーまだまだなのに」
「文句を言うなら初めから言うな…」
ジャックはそうやって我慢して受け入れているエイトが大好きだった。同時に、この状況になってからがジャックは一番興奮した。生物学的になんの意味もない性行為は、本当にただ欲求を満たすだけの行為であることに相違はなかった。
エイトはだから嫌なのかもしれない。僕に痴態を見せるのも十分屈辱的かもしれないが、更にこの意味の軽薄な行為は、真面目なエイトには背徳感を味あわせるのかもしれない。でもいつもエイトは黙っているから実際よく分からない。
「エイトにあんまり無理させたくないから〜いつもエイトは可愛いね」
「…あんまり小刻みに動くな」
エイトが苦しそうな吐息を漏らして、生理的な涙が流れて、そのたびに心から笑顔がこぼれた。
「ほら、エイト」

名前を呼んで





もうエイトくんが好き過ぎてついつい
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