すう、と吸い込んだ空気が冷たくて息が止まりそうになるんだ。
ノボリと僕は実の双子の兄弟だ。生まれた時から時間を共有してきた唯一無二の存在。楽しいことは分け合って、つらいことは2人で解決してきた。だけどおかしいね。ポケモンの好みは違うし、食べ物だって好みは合わない。それでも僕たちには血というなににも代え難い絆があった。
僕たちは大人になった。大人になったということは、強くなったということ。知識もついたし、いろんなことを分かる大人になった。
だけど大人になってから損をしたことがあるんだ。それがノボリへの感情の変化。いつか恋をテレビで知って、僕がノボリに好きっていったら両親にその好きは恋じゃないんだよ、と笑われたことがあった。ノボリも笑っていたけど、僕はなんだか笑えなかったっけ。いつの間にかベッドも部屋も別々になって僕は寂しかった。今思えば、僕っていつもノボリがいないとやだってわがままばかり言って、いつもノボリが優しくしてくれてた。
僕はノボリを愛していて、それは兄弟だの家族だの双子だのそんな範疇は飛び越えていた。愛、恋、軽々しく言えない言葉を、勇気を持って言うしかなくて、拒絶されずに受け入れた時は、本当にこれが許されないことは分かっていても、目の前にいるノボリだけは大人になった僕が、僕はノボリを守るんだと決意した。
「おはようクダリ、」
「おはようノボリ、」
愛しい君を守るんだ。近親相姦、ましてや男。なんて禁忌。
だから、ばれてはいけない。
秘密の庭
(君と僕だけの)
クダノボはラブラブよりビターな大人な香りで禁忌で隠匿くさい話が好きです。
一応両思い。
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