「ねえ、持って行く順番決まってるなら教えてくれなきゃ困るのだけれど」
「あ、ごめんね」
「ふん、その位ちゃんとしてよね」
「うん次からはちゃんとできるようにするよ」



でも教えようとしたら話聞かなかったのはそっちだよね!

もちろん声には出してない。
せっかくできる子が入ってきてくれたんだ。
逃すわけにはいかない。
ここは我慢だ!
実際今もびっくりするほど手際良く洗濯物干してくれてるしね!
すごい、皺が既にほとんどない。




「…」
「うわ、すごいね!速いし綺麗!」
「別に、こんな事たいしたことじゃないじゃない」
「そんなことないよ」
「これしきの事ができた程度で褒めるなんて、あなた理想が低すぎるんじゃない?」



王者立海大のマネージャーなんだからもっと意識高く持たないといけないんじゃないの?


理解できない、というように蔑んだ目でこっちを見てくる転入生。
…意識かあ
確かに低いかも。
だって前が前だしね。
それに辞める事で必死になって仕事を頑張ろうとかそういう気持ちはなかったかも。
いや、ある、あったって!
自信はないけど!


こんなんじゃバスケ部入ってやっていけるわけないよね。
もっと頑張らなくちゃ。
選手にしてもマネージャーにしてもバスケ部はキツイし。
伊織くんに褒めてもらえるくらいに頑張らなくちゃ。

多分伊織くんは何しても褒めてくれるけどね。



「…そうかも」
「え?」
「わたし、これからもっと頑張らなくちゃいけないね」
「そ、そうよ」
「うんうん、そうだね!じゃあ、今更なんだけど名前教えてもらってもいいかな?」
「は?」
「ごめんね、聞いてなくて。だから名前を…」
「真北逸月よ」
「そっか!真北さんよろしく!」



わたしの名前知ってる?と問いかけると真北さんはわたしに目もくれずに何処かに去って行ってしまった。
あれ、
名前知らないとか面と向かって行っちゃったから悪印象与えた…?
困る困る
流石にそれが原因でやめるとかはしなさそうだけど…。
なんかあの頃メンタル強そうだよね。
偏見だけどね!





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