荷物を運び終えて、少したった時、ふと自分の部屋が何処か聞いていなかった事に気が付いた。
まさかロビーのソファで夜を過ごしたくなんてない。
少し怖いけど、部長の所に聞きに行こう。










「部長」
「ん、ああ、何かあったのかい?」
「わたしの部屋はどこですか?」
「彩音と同室だよ、上の階に上がってすぐの所」
「ありがとうございます」


「あ、待って」
「はい」
「…いや、何でも。あ、ご飯とかはマネージャーに作ってもらおうと思ってるから」
「わかりました」








まじか。
聞いてなかった。
部長は何か言いかけてやめた感じがしたけど、どうせ彩音ちゃんの事だし、とにかく何だか怖いのでさっさと階段を駆け上った。










「あ、悠ちゃん!見て見て!ベッドのお布団ふかふかだよっ!」








部屋に入ると彩音ちゃんがベッドでトランポリンしてました。
しかもじぶんのだけならまだしも、二つ並んでいるベッドを行ったり来たりしていた。
…元気な事は良い事ですよね。
片方私が使うんだけど…ぐちゃぐちゃだ。


いや、寝れれば良いんだけどね!
本当に!










「彩音ちゃん、ご飯私たちが作るらしいよ」
「うん!精市先輩に聞いた!わたしお料理苦手だから…頑張るね!」








そうでしょうね、予想通りですよ、とは言えなかった。
彩音ちゃんは不器用な事は知っているし。
でも決して人任せにしないで自分も頑張ろうとするその姿勢は素晴らしいと思います。
…でもつまりほぼ一人で作るって事だよね。
伊織くんにちゃんと料理習っておけば良かった…。


ぱっと浮かばなかったので伊織くんにメールをする。
夕食を任されました。どうしたらいいでしょうか。と。
やっぱり即時に返ってくるメールには食材を教えてくれれば俺が考える、と頼もしい事が書いてあったのでそれに甘える事にした。
さすが伊織くん。
返って来たらお礼楽しみにしてる、という下のメッセージは見てない事にした。








「合宿、楽しみだね!夜いっぱいお話しようね!」
「うん」






キラキラスマイルでるんるんしている彩音ちゃん。
夜までその体力は持つかなあ。
もちろんわたしは夜はすぐに寝たい。
体力は無い方だし。
絶対に疲れるから。
しかも朝も作らなきゃいけないんでしょ?
尚更早く寝ないと。




とりあえずウォークマンの充電をして、練習場所に向かった。









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