そうして迎えた合宿当日。
立海校舎に泊まるのかと思いきや、山の方にある少し大きめの宿?みたいなところに泊まるらしい。
立海の経済力はなかなかにすごいと思う。
合同合宿の宿舎はこことは違うところだけど広くて綺麗だし。
スポーツに力をいれているだけある。






しかし…






集合時間の三十分前。
バスの周りには誰もいない。
もう当たり前と言ったら当たり前だけど。
ボールとか運び入れるのに人手は欲しかった。
上の代の先輩達は皆何も言わなくても早く来て手伝ってくれていたのになあ。
いや強制というわけではなく、ただ先輩達は選手とマネージャーが仲良かったから。




あれ、なんか…悲しい!




仲悪くはないと思ってるけどね!
自主的に手伝おうとは思わない程度に仲良いから。
本当だから。






とにかく早くボールとかコーンとか運び入れておかないと。
一人だからそれなりに時間がかかるはずだ。






「神田」
「あ、柳先輩…おはようございます」
「ああ、おはようございます」






律儀に敬語で挨拶を返してくれる柳先輩は案外お茶目だ。
少しかわいい。
でも俺も手伝おう、とさりげなく重いものを持ってくれる先輩はかっこいい。
なんて素敵な先輩…!






「なかなか多いな」
「そうですね、土日だけだと言っても一応予備も持って行くので…」
「ああ、そうか」
「すいません、わたしの仕事なので先輩はバスの前に戻っていても…」
「いや、気にするな」






柳先輩はもうすぐジャッカルも来るしな、人手は無いよりもあったほうが良いだろう?と言いながら歩き始めた。
割と重いはずなのに…軽々と運んでらっしゃる…。
わたしも真似していっぱい積んで持とうとしたらいつの間にかわたしの前まで戻ってきた先輩にやめておけと言われた。


案の定持ち上げる事すら困難だった重さのそれは何故か小走りで来た桑原先輩がひょいと持って行ってくれた。
男女の差をかんじた。









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