「最近どう?学校は」
「いつも通りだよ、伊織くんは?」
「俺もそうかな」



今日は親が遅くまで仕事なので伊織くんはの家で夕食を取る事にした。
伊織くんは妹の私から見ても何でもできるスーパーマンなのでもちろん夕食を作るのも朝飯前だ。
つまりすべて作ってもらいました。
とても美味しいです。




「少し焼けてきたね」
「うーん、もう夏も近づいてるからね」
「日焼けしても悠はかわいいから大丈夫だよ」
「あははありがとう」
「でもやっぱりテニス部やめてバスケ部入ればそんなに焼けないんじゃないかな」
「そうだねえ」



何かとバスケ部に入るように促してくる伊織くんにももう慣れた。
無理だよ、と断るとむっと拗ねるので軽く流す事にしている。
でもむっとした伊織くんもかっこいいのにかわいいからずるい。




「もう一人マネージャーいるんだからいいんじゃない?」
「そううまく行けばいいんだけどね」




珍しく食い下がってくる伊織くん。
多分合同合宿が近づいているからだと思う。
テニス部とバスケ部の引退は夏休みなので、それまでは合同合宿の回数が多い。
皆一生懸命に少しでもいい結果が出るように、と先生方が考えた結果である。
合同合宿一緒にいければ良いのに…。





〜♪



「…?」



珍しく部長からの着信を知らせるメロディが鳴る。
明日の部活に何か変更でもあったんだろう。
見ていい?と聞くと良いよ、と帰ってきたのでメールを確認する。





「伊織くん…」
「どうしたの?」
「来週のさ、映画なんだけど無理みたい」
「…部活?」
「うん…テニス部だけ合宿するって」




土日を使ってみっちりテニスをするそうだ。
正式な合宿ではなく、ただ学校に泊まるらしい。
いいじゃないか、土曜日練習して日曜日も練習すれば。
泊まる意味がわからない。
そしてそういう施設を整えるこの学校もわからない。



すぐに彩音ちゃんからメールが届く。
そこには絵文字たっぷりで合宿頑張ろうね!と書かれてあって、ああ逃げられないんだなと察した。





「…俺と悠の時間を奪うなんて…本当にテニス部っていい度胸してるよね」
「ご、ごめん」
「んー悠がお兄ちゃんって呼んでくれたら許してあげてもいいけど」
「ごめんねお兄ちゃん本当にごめん」
「あ、やっぱ悠かわいいさすが俺の妹かわいいそしてやっぱテニス部って許せないな」







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