without my dream





ああ、それでか。

頭の中で最近の蔵ノ介の行動の原因が繋がった。







いってきますのキス、なんて同棲して最初の頃もふざけてやる程度だったのに。
どうして今更、でもそれほど大きく考えていなかったわたしはテレビを付けながら部屋の掃除をしていた。
キッチンの周りを水拭きしている時、不注意で棚にぶつかってしまった。


ガチャ


「あっ…」



わたしの真横に落ちてきたガラスのコップ。
幸い割れてはいないようだ。
…お揃いで買ったやつだからなあ。
といってもここにはほとんどセットで買った食器しかないのだけれど。

割れなかった、これってラッキー?
まだ続いていられるってことかな、なんて女の子な思考を働かせてみた。

やさしく拾い上げて、一応水で濯いでもとあった場所に戻す。
さて、続きをやりますか、と髪を耳にかけた時、






《白石蔵ノ介と後藤ユキ、交際発覚!!》





目の前のコップは割れていないのに小さく何かが割れた音がした。




見れば後藤ユキちゃんがマスコミに「付き合っているのか」と聞かれ、顔を少し赤らめて小さく頷いていた。




ああ、そうか。



きっと蔵ノ介はわたしに罪悪感を感じていたんだ。
後藤ユキちゃんと付き合ったから。
優しい人だから、余計に。


コメンテーターの一人がやっぱりお似合いですよね、と言うと他の人たちも美男美女だ、などど褒めちぎる。
いつ聞いたのだろう、街頭で女子高生に二人のことを聞いた映像も流れてくる。



《えー!そうなんですかー!?やだやだー!蔵が付き合ってるとかぁ〜…》
《始めて聞きましたー!でも相手がユキちゃんだからいいかなーって》
《んー…ユキちゃんかわいいからなー…他の人だったら嫌だけどぉ、》





《一般人といきなり結婚しましたって言われるよりは良かったかもって思いますー》






20130104
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