where is my feeling







今わかっている事、

わたしが蔵ノ介のことが好きな事





蔵ノ介の気持ちはわたしの方には向いていない事







《あ、藍か?今日な、早めに帰れそうやねん》
「そうなの?」
《おん、早く終わってん。すぐ帰るから、待っとってな!》


プーー、プーー、…



昨日まで、いや今日の朝までなら喜んでたのに。
今は素直に喜べない。
ねえ、早く帰ってくるのは何で?
焦った様な声を出してるのは何で?
指先から冷えて行く。
いつもよりゆっくりご飯の用意をする。

蔵ノ介、早く帰ってきて、帰ってこないで





「ただいまー」
「おかえりなさい」



紙袋を提げて帰ってきた蔵ノ介の上着を受け取る。
靴を脱いで、手を洗いに行く蔵ノ介を横目にハンガーに上着をかけてテーブルにお皿を並べて行く。



「ふー…」
「お疲れ様、もう出来るから椅子に座ってて?」
「…」
「蔵ノ介?」
「っん!?あ、聞いとらんかったわ、すまんな」




ううん、疲れてるから仕方ないよ、と笑って答えながらキッチンに戻る。
頬杖をついてテレビを見ているけどどこか遠くを見ている蔵ノ介。
何を考えてるのかな、なんて思うけど



「(きっとわからない方が良い)」





「お待ちどうさま」
「おおきに」
「うん」
「いただきまーす…」



最近の様子から比べると珍しく蔵ノ介が話をしない。
何か言いたげにこちらを向いたり、ふ、と少し息を吐いてご飯を食べたり。
いつもより食べるのが遅い蔵ノ介より、わたしの方が早く食べ終わった。
…ちょっと散歩行きたい。
この空間が、辛い。




「ご馳走様」
「え!?は、早いな、藍」
「蔵ノ介はゆっくり食べてて?わたし少し歩いてくるね」
「もう遅いし、明日にしいや」
「うーん、大丈夫だよ。お皿はシンクに置いといてくれればいいよ」



自分の分だけのお皿を洗って片付ける。
リビングの蔵ノ介が座ってるテーブルの横を通り着替えに行こうとするとぱし、と腕を取られた。



「…俺も行くわ」



がつがつとご飯を書き込み始める蔵ノ介になだめる様にして一人で大丈夫だよ、と言う。
じぃ、と下から睨みつけられる。




「気をつけるんやで、携帯は忘れたらあかん、いつでもかけられるようにしとくんや。余りにも遅くなったら迎えに行くけど、なるべく早く帰ってきい」
「わかった」
「後、俺からの電話にもいつでも出れるようにマナーモード解除しとくんやで」
「わかったってば」



心配性だなあ、と思わず笑うとようやく少し笑って頭をくしゃ、とかき混ぜられた。








歩きながら考えた。



蔵ノ介とのこと。
最近何回も考えていること。
言われるのを待つか、自分から切り出すか。
いつもその場では答えは出るのに次の日になるとまた迷う。

わからない、わからないよ蔵ノ介。


今、何を考えているの?







20130117
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