朝。
幼い頃から使っていたベッドで目を覚ます。
寝過ぎたのか、頭が重い気がする。
「あれ、」
どんな夢を見ていたんだっけ。
とてもとても長い夢を見ていた気がする。
靄がかかったように思い出せない。
のろのろベッドから降りて、床に足を着いたとき、
「…あ、」
思い出した。
テニスの王子様の世界に行っていた夢だ。
すごい現実的な夢だったなぁ。
…立海の、柳なんて。
特別好きなわけじゃなかったのにね。
今ではもう、思い入れのあるキャラクターの仲間入りだ。
「おはよ」
「あら、今日は早かったわね、朝ごはんもうできてるから自分でお箸出して食べてなさい」
「うん」
寝巻のままリビングに下りてトーストをかじる。
ニュースを見ると見たことも無いような地名が出てきていた。
見たことが…ない、?
いや、ある。
っていうか…。
「お母さん、わたしって」
「なによ」
「一中に通ってるんだよね?」
しん、と沈黙。
聞こえるのはテレビの音だけ。
お母さんは冷めたような目でこっちを見た。
「なに馬鹿なこと言ってんのよ」
「だよね、」
あ、やっぱりそうか、と安心したのもつかの間。
「あんた立海大付属でしょうが!!」
「んなばかな!」
あれ、この状況激しく見たことあるぞ。
嘘でしょ。
自分の部屋に行って、クローゼットを開ける。
「これは…」
夢の中で、来ていた制服がそこにはかけられていた。
ばっと本棚を見る。
…サッカーの次はバスケになってるし。
「同じ事、繰り返すってこと…?」
fin.
20120922