「藍、話があるんだけど…」



お昼ご飯の途中、少し言いづらそうに口ごもりながら切り出した華央。
何を言うんだろう、と首を傾げて隣の柳さんを見たら柳さんもわからないようで首を横に振った。



「どうしたの?」
「えー…あー…あのね」



口を開けては閉じて下を見たり上を見たり世話しない華央。
あれ、なんか顔赤くない…?



「ふふ、華央、言わないのかい?」
「い、言うってば!藍!」
「は、はい!?」
「わたし!精市と!つ、付き合うことになった!」



ふー、ふー、と息を荒げる華央と優しく笑って褒めるように頭を撫でる幸村くんとほう、とノートに書き込んでいる柳さん。
他のみんなは凄い驚いているみたいで真田くんなんかお茶をこぼしている。


わたしはと言うと、何故か自分が安心した。
元はといえばわたし(というか連れて来た彼女)が崩してしまったこの世界。
普通なら華央はわたしを嫌ってくれても良いはずだったのに、仲良くしてくれている。
ようやく、二人が元に戻ってくれた。
言葉にならないほど嬉しくなって、涙目で華央に抱き着く。



「華央…!おめでとう!」
「ありがとう、藍」
「わたし、凄く嬉しい…」
「もー(笑)泣かないの!」
「だって…!…ぅー、」
「遠藤、貸してみろ」
「うん、お願い柳」



べり、と華央から剥がされてあっという間にわたしは柳さんに抱きすくめられていた。
ぐじぐじ目を擦っているわたしの腕を止めて、頭をぽんぽん叩いてくれた。



「赤くなるぞ、やめておけ」
「柳さぁん…」



あの日から全てを知っていた柳さんはわたしがなんでこんなに喜んでいるかわかってくれているようで、よかったな、と言ってちゃんと祝ってやったらどうだ、と言うから慌てて華央と幸村くんの方に向き直ってもう一度おめでとう、と言った。



「ありがとう、藍」
「ありがとう」
「おめでとう、精市」
「ああ、ありがとう蓮二。次は君の番かな?」
「…そうかもな」



「…藍!」
「ん?なあにそんなに小さい声で」
「藍も柳、頑張りなよ?」
「なっ!」



ぼん、と顔が熱くなった気がした。
…やっぱりわたし柳さん好き、なのかな。
多分、そうなんだよね。
顔に両手を当てて柳さんをちらっと見ると目があって気付いた柳さんが目の前まで来てくれた。
わたしの前髪をさらっと梳かして、顔を覗き込んできたから思わず目を反らす。
…近すぎですから…!




「…顔が赤いな、暑いか?」
「いや!全然違います!」
「そうか…だが向こうの日陰に行くぞ」
「わ、ちょ、待って…」






「ね、精市…」
「なんだい?」
「なんか付き合ってないのに熱いよね、あの二人」
「そうだね、でも…」
「?」
「俺らも負けないよね?」
「(自分の首絞めたかも…)」





20120903


さっさと話進めないと終わらなくなるー…!
心境の変化が甘いですね。
次からラストスパートです。




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