「藍ー!次一緒に行こ!」
「うん!」


華央の前で号泣した次の日から華央は何かと誘ってくれるようになった。
彼女には全ての事を話して、また私が来る前のすべての事を教えてもらった。
例えば、華央と幸村くんは付き合っていた事とか、立海のテニス部レギュラーは女嫌いで有名だった事、その他色々。



「遠藤、藍は俺らと一緒に行くんじゃ」
「そうだぜい、藍は俺らのなんだよ!」
「え、嫌だよ」
「な!」
「だって藍だってうちらと一緒に行きたいよね?」
「…うん!華央達と行くから」



そのまま教科書と筆箱を持って教室を出る。
…すこし露骨過ぎたかな、でもいいんだ。
早く、彼らも私も元に戻らないといけな い んだから。







「…遠藤とつるみ始めてからなまえが冷たくなったよな、」
「そうじゃな、なんとかしないといけんな」








それから、ずっと華央のグループと一緒にいた。
最初こそ「藍さんと話せるなんて!」とか言われていたが、今は普通に友達として接していてくれている。
べったりそことくっついているのにやっぱりテニス部の人たちがクラスに訪れたりするけど、華央が庇うようにフォローを入れてくれたりする。



「藍!一緒に飯食いに行こうぜい!」
「あ、ごめん華央達と食べるから」
「…柳、何とか言ってくれよい!」
「…無理させる物でもないだろう、来たくなったら来ればいい」
「柳先輩ー…」
「…切原、いい 加減にしなさいよ」
「なんすか、この女。俺は藍さんに話しかけてんすよ!」
「赤也、落ち着け」



庇ってくれた華央とテニス部がどんどん険悪なムードになっていってしまっている。
…わたしのせい、か。
嫌だけど、本当に嫌だけど今日は逃げられないんだろうなあ、と腰をあげる。



「わかった、今日は皆と食べるよ」
「本当っすか!?」
「んじゃ、行くとするかの」
「でも購買行ってくるから」
「あ、着いていくか?」
「いいよ。桑原くん達は先に行ってて」
「…屋上にいるからね、待ってるよ、藍」



ぞろぞろと教室を出て行くレギュラー。
はあ、とため息を小さく吐くと華央が大丈夫?と聞いてきてくれた。
うん、平気、と返して行 って来るね、というと心配そうな顔で携帯は持って行けだの、やっぱり着いていくだの言われて他の子に「華央ったら過保護」と言われていた。
笑って階段を下りてパンを買いに行く。
財布を片手に歩いていると何故か歩こうとする道がどんどん開いていく。
最初はなにかあるのかと思っていたが、流石にもう慣れた。
これはわたしが歩くから開いていくのだ。
きゃあきゃあとわたしのなまえを叫ぶ女の子にももうため息しか出ない。




すこし下を向きながら歩いているとどこから出てきたのか目の前に見たことのない女子が立っていた。
指定の水色のベストは着用していないで、黒い少し長めのカーディガンを着て、目にもろかかっている前髪を分ける事もせずに黒ぶちの眼鏡をかけ ている。
全く知らない子だ。
口元を少し動かしたのでえ?と思わず聞き返したら女の子とは思えない力で右腕を掴まれて引きずるようによくわからない教室に連れ込まれた。



「(え、え、え、なんなの)
「神田、藍…」








「あなたには譲らないわ」







20120724








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