「やっばいこれ恋かもしれん」
「登校して早々何言い出してんの」
「せやで白石。お前廊下出れば四天宝寺のプリンスやけどこのクラスでは変態キャラやねんぞ。自重しろ」



今日も無駄の無いルートでやって来たらしい白石がいきなり右手を机について、左手を顔に当てながら呟いた。



「もうあの子のこと考えると心臓が高鳴るねんほら今も」
「あー階段のぼってきたからじゃない?」
「やっぱ部活引退すると聖書でも体力落ちんねんな。俺も即刻落ちたけど」
「落ち方もスピードスター?」
「やめて。恥ずかしいから。ごっつ恥ずかしいねんそれ言われると」



あれや、若気の至りっちゅう話しや。といいながらおもむろにじゃがりこを取り出す謙也。
貰っていい?と聞くと遠慮すんなと言われたので甘えることにする。



「もう頭から離れんねん…!」
「サラダ味わたし結構好きなんだよねーうんうん離れられない。期間限定とかも買うんだけどさ、最終的に戻って来るのはサラダ味」
「俺も。ちなみにポッキーとトッポだったらトッポ派」
「意義なし!おにぎりだったらねぎとろ。ツナマヨは邪道だと思う」
「お前同志やな。なんで飯とマヨ一緒に食わなあかんの」



やばい謙也超わかってんじゃん、今度菓子パしよ。と提案するとコンマ一秒で返事が返ってきた。
あーコンビニ別おにぎりランキング良いね。
わたしたちこのまま高等部に上がるから受験無いしね。
やろやろ。

まったりしているといきなりわたしの机にバンッと衝撃が走った。
なんだなんだと見ると包帯を巻いた左手が見えたので犯人を確信する。



「白石ィィィィィィ!!!じゃがりこ散らばったやないか!どないしてくれん!?」
「お前らこそ何なん!?俺の話聞けや!」
「聞いとるわ!」
「嘘や!嘘つきは泥棒のはじまりやで!なまえ、何逃げようとしてんねん!」
「なまえ俺を裏切るんか!?呪うぞ!消しゴムで」
「しょっぼ」



やたらめんどくさくなってしまったので席を外そうかと思ったら見つかってしまった。
本当に心の底から面倒臭い。
大人しく白石な話を聞くことにして、もう一度席に座り膝に手を置き俯く。



「え、なんでそんなにふさぎ込んでるん?」
「周りに白石と謙也に虐められてますアピールしようと思って」
「ふざけんなや!でもって話聞けや!」
「いいよもう勝手に喋ってればいいよ」
「投げやりやな」
「じゃ、じゃあ話すで。…俺な、重大な病気にかかったかもしれんねん、」
「ほーん、何て?」
「謙也お前初っ端から話聞いてなかったんか!?」
「ちゃうわアホ!何て病気って聞いたんや!」
「ね、じゃがりこもらってい?」
「あ、おん、でもさっき散らばった奴やで。俺は気にせんけど」
「わたしも気にしないから大丈夫」



もう二人とも話聞く気なんか無いのにそれでも話しつづける白石は勇者だと思う。
いきなり拳を握って立ち上がったと思ったらじゃがりこ片手に叫びだした。



「恋の病やねん!」
「脳の疾患の間違いじゃない?」
「じゃがりこ持って行くなや」









20120630





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