「じゃがりこ買ってしまった」
「またか」
「定期的に来るじゃがりこ」
「仕方ないのじゃがりこ美味しいから」
「それはまあ認めるけど」
「お前その期間は惜しみなくじゃがりこに金つぎ込むやん」
「後悔は無いし」
べり、とじゃがりこ(サラダ)を開ける。
失敗する。
開かない。
紙が不自然に破れた。
しかしわたしはめげない。
「下手くそ!なんで!?逆にどうしたらそうなるん!?」
「無駄やな」
「まあよくある」
この程度でじゃがりこを諦めてたらいつまでたっても辿り着けないから。
ここが正念場だから。
意地でこじ開ける。
そこには待ち望んでいた黄色い棒が所狭しと入っていた。
まず一本口に咥えてまあ情け程度に白石と忍足にも分け与えようと差し出してやる。
「お、おおきに」
「ん」
「…え?」
目の前の無駄男は。
何を思ったかじゃがりこのカップからではなくわたしの口のじゃがりこをさくっと一口食べた。
ときめかない。
何を考えているんだ。
「何その勘違い。非常に迷惑なんですけど」
「だってこんな顔近いんやもん、誘われてると思うやんか」
「だから非常に迷惑だって」
忍足はびっくりしすぎて口をぱくぱくしている。
そうだよね。
常識的に考えてあり得ないもん。
この人本当に何考えて生きてるんだろう。
無駄省くこと考えすぎて大切なモラルまでなくなってしまったのかもしれない。
そうに違いない。
「でもなまえももう少し顔赤くするとか無いん?」
「ときめきが無かった。今の一連の行動に」
「何でや!」
「白石の顔だけを知ってる状態ならまだときめいたかもしれないけどね」
ちら、ともう一本じゃがりこを食べようとして見たら既にじゃがりこがなくなっていた。
ちらりと金髪を見るとスピードスターやねんすまんな、と言われた。
四天宝寺にはろくな男がいません。
20130514