なんでなんでなんで?
どうしてどうして?
何がいけないの?
どうしたら良かったの?



「あ、手塚部長の妹だ」
「ほんとだ」
「二年生だっけ?」
「え、一年じゃなかったっけ?」
「あーそうだったかも」



知らないなら言わないで
ほっとけばいいじゃない



「名前なんだっけ?」
「んー思い出せねえや」
「手塚部長は国光だよな?」
「おう、妹もそんな感じなんじゃね?」



わたしだって何回も表彰台に登っているのに
覚えて欲しいとかじゃない
そんなこと思ってないからお願いだからわたしの話をしないで



「おい妹ー」
「手塚妹じゃないか」
「あ、手塚妹!」



妹じゃなくて名前を読んで
わたしにもなまえっていう名前がちゃんとあるの
妹だなんて名前じゃないの




「また負けたのか」
「お兄ちゃんは部長になれたんだからあなたもなってくださいね」
「全国大会には出れないのか」
「テストもこんな点数しか取れなかったの?ちゃんとお勉強はしたんですか?」
「国光だったらしっかりやれていただろうに」
「お兄ちゃんを見習いなさいね」




ちゃんと見て
大会は確かに負けてしまった
けどわたしは後悔なんてしてないの
チームみんなで頑張った結果なんだよ
テストだってお兄ちゃんと比べればまだまだかもしれないけど、学年で一位はとったの



ねえ、どうしたらお母さんたちはわたしを見てくれるの?




何をしたって全てが無駄になっている
何をしたって報われない
最後に名前を呼ばれたのはいつ?
最後に楽しいと思ったのはいつ?

最後に笑ったのは、いつ?










「全く、お前はもう少し頑張れないのか」








辛い、辛いよ
お兄ちゃんまでそんな事いうの?
でもね、知ってたんだ
お兄ちゃんもわたしの事なんて見てなかった事
わかってたよ
わかってたのに、こんなにも辛い



もう、真っ暗だ



わたしの光はどこにあるんだろう
どうやって前に進んで行けばいいんだろう
どうすれば明かりが見えてくるの?





手を伸ばして、見つけようとして、触れようとして、かすりもしなくて
もう歩けない
頑張れない
水の中にいるみたい
息ができない
足に力が入らないの

わたしは今どこにいるの?
落ちて、沈んで、潜っていく







おねがい

だれか、誰か








「なまえ」






わたしを照らして








20130320





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