「なまえ」
「あ、白石だ。おはよー」
「おん、あけましておめでとう」
「あ!そうだ!おめでとー!年賀状届いたー?」
「来たで。お前シンプルすぎやろ」
「えーだっていっぱい書いたら白石『無駄多いで』って言うじゃん」



他の子にはすごいびっしり書いたんだよー、と言うと俺にも書けや、と頭を軽く叩かれた。
でも白石も全然コメント書いてないじゃん、と言い返すと俺はええねん、と爽やかに言う。
お前ナチュラルにジャイアンだわ。
かわいそう、男テニ。



「それよりなまえ、ヘッドホン買ったんやな」
「そうなの!お年玉で買っちゃったー!似合う?」
「似合てる似合てる」
「へへーやったー」
「あ、上の方の髪、ぐしゃぐしゃになっとるで」



さら、と片手で髪を直してくれる。
多分ヘッドホン付けた時に変になっちゃったんだろう。
…白石ってヘッドホン似合うかな、



「…ね、これ付けてみない?」
「なんやいきなり。…直ったで」
「ありがとう、で、付けてみる気ない?」
「別にええけど」



はい、とヘッドホンを外して白石に渡す。
ほんまいきなりやな、と笑いながらヘッドホンをつける白石。





「どう?」
「…!」








え、似合ってない…!?




嘘だ、イケメン白石に似合わないものがあるはずがない。
猛一度ちゃんと見てみる。
似合っていない。
ヘッドホン、なんか浮いてる。
イメージに…あってない?







「!」




いつも横に流れてる髪がヘッドホンで押さえつけられてるんだ!
ちゃんと髪を耳にかけるとかしてどかさなきゃダメだって!

あれ、でもよくみるとなんかかわいいかも…




んーそんなことないかも!
なんか変だ!
サイドの髪が押さえつけられてる!
しかも髪の色とヘッドホンの色があってないし…
え、ヘッドホン似合わない人っているんだ、そんなことってあるんだ!

多分白石にはヘッドホン無理なんだよ
イケメンモデル体系の白石にも無理なものあったんだよきっと




「え、なんなん?似合ってない?」
「…」
「シカトか。泣くで」
「白石…」
「ん?なん?見惚れてたん?」
「白石の顔の良さはわかってるんだけどさ…」
「はは、おおきに。嬉しいわ」






やばい、白石は多分似合ってないと言われる可能性は考えてない。
外見は本当に良い男だ。
これまでなに不自由なく着たい服を着て、したい髪型にしてもかっこいいと褒められてきたに違いない。
つまりけなされ慣れていないはずだ。

オブラートに包んで包んで包んで遠回しに伝えてあげよう、それがせめてもの優しさ…!!







「あんた死ぬまでヘッドホンは買わない方がいいよ」







20130105  






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