「はい終わりーペン置けー」

「はーっやっと終わったねー」
「ああ、苗字さんはどうだった?」
「徳川くんのおかげで何とかできたよー」
「そうか」



それはよかったな、と小さく笑う徳川くんまじイケメン。
この人のおかげで今回は本当にガチで今までで一番解答用紙が埋まった。
追試は免れたな、これは。



「早く帰ろー、お腹すいちゃったし」
「ああ、もう昼時だからね」



ごそごそ帰りの支度をはじめる。
明日は世界史かー…。
やっと支度を終えると、丁度彼も同じタイミングで終えたようだった。



「徳川くんもうすぐ帰る?」
「ああ、そのつもりだ」
「そっかー、じゃあ駅まで一緒に行こうよ、あ、べつに無理しなくても良いんだよ」
「…」
「もしかしてテニス部の人と帰る?あの眼鏡のやたら人の相談に乗りたがる先輩とか」
「いや、苗字さん、一緒に帰ろう」







「テスト週間っていつもより早く帰れるからさー、ついついお菓子とか買って帰っちゃうんだよね。勉強しながら食べたり、でも夕飯とかもしっかり食べるから太る太る」
「…そうなんだ」
「徳川くんはお菓子とか食べなさそう」
「そんなことないよ、俺も食べる」
「え!食べるの?スナック菓子食べる?」
「ああ、食べる。この前も入江先輩にさつまりこ貰った」
「ああ、相談の先輩」
「(この印象はどうにかならないものか)」



歩いていると、信号が赤で止まらされた。
徳川くんは歩道側を歩いてくれるわ、歩調をわたしに合わせてくれるわで本当に素敵だなと思いました。
ただ目を合わせるにはかなり上を見上げなければならないのが難点です。
いや、難点って程じゃないけど。

他愛のない話をぐだぐだ続けていると、赤信号が青になる直前に黒い影がびゅん、と信号を走り抜けて行った。



「あれは…陸上部?テスト期間で部活無いのに部ジャー着て来るなんて部活大好きなんだね。制服は嫌なのかな」
「…寝にくいんだろう、布が伸びなくて」
「あ!なるほどー!っていうか今の明らかにフライングだよね、陸上部のくせに。反則!退場!ぴーっ!」
「危ないからあんまり派手な動きはしないほうが良いよ」
「そうだねごめん。でも反則する人なんて今回のテスト全部赤点の刑にしちゃおう」
「何だかいつもとテンションが違くないか?」
「そんなことないですよー」




あははー、と笑っていたら肩を人とぶつけた。
徳川くんは何とも言えない目でわたしを見ていた。
ごめんなさい。
次から気をつけたいです。
でも、若干テンション上がってるから仕方ないよ。
徳川くんと帰れてるんだよ!
これはもう徳川くんはお友達確定だね!
今度マック一緒に行こうかな、とか思ってみたり。





つきあってね!




20121015




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