ばさっ



「お、抹茶味のガルボじゃん!くれんの?」
「話聞いてくれたらね」
「全然聞くC!どったの?」



昼休み。
いくら金持ち学校といえど一部(跡部とか跡部とか跡部とか)を除き、コンビニのお菓子にもなかなか詳しい。
思った通り、抹茶味のガルボを机の上に数個投げ出したがなんのリアクションも無かった。






「これさ、うちの母親が静岡のお土産って言って買ってきたんだ」





ニコニコと袋を開けている向日と鞄からムースポッキーを取り出している芥川の動きが止まった。
え?と声には出さずにこちらを向いて目で訴えて来る。



「だからさ、うちに腐るほどあるんだよね。近所にも配る予定だったらしくて」



でさ、これ見てよ、と言いながらわたしは一つのコンビニ袋を彼等の前に出した。
何だよこれ、と言う向日にちょ、中見てみて、と促す。




中に入っているのは今日買ったことを示しているレシートと、抹茶味のガルボだ。




「しかもこれ買ったの氷帝前のファミマ」
「ぶふっ!」
「ありえねー!苗字の母さんサイコーだC!!」
「クソクソ!相変わらずすげえ事するな!」



最初に吹き出したのは向日で、そこから火がついたように笑いはじめた。
しかしわたしは表情を変えないままである。
だってこの話には続きがあるのだ。



「それをさ、お母さんに言ったんだよ。そしたらさ、『静岡のお土産館で買ったんだから間違いない』って」

「静岡限定って書いてないじゃない、って言ったらさ、『そうなの!隣に普通のコアラのマーチあったんだけどね、でもここお土産館だから何買っても静岡のお土産だと思ったの!』って」

「お兄ちゃんに渡したらさ、あの人は普通に受け取ったらしくて。信じたんだろうね、抹茶だから」

「極めつけは『詐欺じゃない!』って」



淡々と昨日あったことを二人に告げる。
ふと二人に目を向ければ机に突っ伏してお腹と口を押さえていた。



「はっ…はっ…腹いて…っ!」
「……(悶絶)」
「それでいっぱいあるんだけど中々減らないからさ、今日から一週間くらいわたしのおやつコレなんだ。我慢してね」
「わかっ…ちょ、はは!…まじか!抹…ガル…っ!」
「……(死亡)」
「あれ、芥川?芥川!?」






20120814
※実話です




- ナノ -