「この前誕生日プレゼントでカメラ買ってもらったんだー」
「へぇ、そうなんだ」
「うん」
「…」
「…」



失敗



「そういえばサボテン弟が買いたいって言ってた」
「へぇ、そうなんだ」
「…おすすめとかってある?初心者向けとか」
「小さいものの方がいいんじゃないかな」
「他にほら、種類とか」
「なんでもいいんじゃない?」
「そっか」
「うん」
「…」
「…」



終了



「最近すごい運が悪くてさ」
「へぇ、そうなんだ」
「うん、不二のお姉さんて占い師なんだよね?診てもらおうかな」
「ふふ、金取るよ」
「だよね」



沈没



「あ、宿題やってないや」
「へぇ、そうなんだ」
「英語の先生怖いよね、」
「そうだね、宿題やった方がいいんじゃない?」
「だよね」



撃沈





だめだ、話しかけるネタは尽きたし、宿題やりなよ的なこと言われたし。



「あー!苗字それ今日までだっけ!?」
「ん、ああ、菊丸、そうだよ」
「んにゃー!俺目つけられてんだよね!」
「一緒にやる?」
「ほんとかにゃ!?助かるー!」



ガタガタラケバから筆箱やらテキストやらを取り出して机をくっつけて始める。
菊丸はわたしの答え写してるだけだけど。



「苗字は頭いいからうらやましいにゃー」
「いや、全然馬鹿だから」
「じゃあこの前のテスト何点?」
「どれよ」
「中間の数学」
「あー…すごいよ」
「うん」
「23」
「やりー!26!」
「うっわサイアク」



動かすのが口ばっかで手が動かなくなっていく。
勉強なんてしなくて良いよねあははー、と笑いあったところで私たちに影がさす。



「に゛ゃっ!ふ、不二…」
「あれ、本当だ」
「英二、わかってるよね?」
「ご、ごめんって…」



授業開始間近なのにおーいしー!と叫んで教室を出ていく菊丸。
彼は戻って来るのだろうか。
菊丸が走っていった方を見ているとさっきまで菊丸が座っていた席に誰かが座った。



「まだ終わってないのかい?」
「不二…」



くすくす笑いながらプリントを見ている不二。
相変わらず美人ですね。
つかさっきまでわたしが話し掛けても全部流してたくせにどうかしたのか。



「でも、」
「?」



なにがでもなんだ。



「好きな子が他の男と話してるのを見るのは嫌なものだね」



ごめんね、さっきは意地悪しちゃって、困ってる顔が可愛くて、つい、と首を傾げながら言う不二をその場に残して机にガンガンぶつかりながら教室を出ていくまで、あと3秒。






(かっこよすぎです…!!)






20120711





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