部室の扉を開けて、今日も俺が一番最初だと確認する。
この二年間と少しで大体誰がどの位の時間にくるかなんてわかりきっている。

休日の部活に俺の次に来る人物はいつも同じだ。




「あ、白石先輩、おはようございます」
「ああ、おはようさん」



マネージャーのなまえだ。
一つ下で財前の隣のクラスの女の子だ。

突然だが俺は彼女のことが好きだ。
最初はちっこいのによく動き回る子だ、と思った。
次第に大事なマネージャーに、仲間になっていった。
気付けばマネージャー以上に大切になっていた。

背も小さく小柄ななまえがちょこまかと走り回っているところは正直悶絶ものだ。
くそ、手のひらサイズにして常にポケットの中に入れておきたい。




「白石先輩は今日も早いですね」
「まあな、やることもあるし、今日は余裕できてん」



真っ赤な嘘だ。
朝ご飯の片付けもさりげなく誤魔化して走って来た。
部室では着替える以外に何もしていない。



「そうなんですか?じゃあわたしはコート整備してきますね」
「いや、もう終わったから手伝うで?」



全てはこのために。
なまえと二人っきりでコート整備するために。
本当にいつも騒がしいあいつらがいるとなかなか静かに話ができないから、休日の部活のこのコート整備の時間だけでも二人で話したい。
きっとなまえはそんなこと気づきもしていないんだろうけど。




「そ、そんなっ!マネージャーの仕事ですから!」
「ええって、俺が手伝いたいんやし」
「で、でも…」
「一緒にやろうや、な?」



すこし緊張しながらなまえの頭に手を乗せる。
…払われたりせんやろか
そんなことする子やないんやけど、不安にはなる。


なまえはじぃ、と上目遣いで俺を見てはにかんだ。
くそ、かわいい



「…先輩に頭撫でられんの、好きなんです」



なんやなんやなんやこの子
可愛すぎちゃう?
え、可愛いのって犯罪やない?
罪やない?



「そうなん?じゃあもっとしたろー」
「わ、わっ」



必死で平静を装いぐしゃぐしゃしてやる。
むう、と頬を膨らませて酷いですと睨むが残念、ただの上目遣いである。
くそ、かわいい



「ははは、ぐしゃぐしゃやー」
「うー、先輩…」
「ごめんなー?ほら、直したる」



今度は優しく髪をとかすように直してみる。
いやこんなに触ったの始めてやん。
このままぎゅーしたい。
なんかなまえからほわほわしたもの出てんねん。
あー癒される。




「ん、おわり」
「ありがとうございます…」
「おん、かわいいかわいい」



「…先輩、すこし屈んでください」
「?これでええ?」


べち


「あだっ」
「し、仕返しです!」



俺にでこぴんしてからぴゃ、と走って部室から出て行ったなまえ。
びっくりしてあほ面かましていたら扉の向こうからなまえが隠れてこっちの様子を伺っていることに気づいた。
目があったことに気付くと今度こそコートに向かって走っていく。




堪らずその場にズルズルと座り込む。




「…くそ…ほんまかわええ…」












いかがでしたでしょうかー…
悶々…と言うことでしたが…
悶えては…ない…?
わたしが求めていたのはこんなものじゃない!と思いましたか遠慮なさらずに言ってやってください
リクエストありがとうございましたー!


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