煌帝国で拾われてすごい怪しまれて拷問とかかけられそうになったけど、むしろ処刑されそうな勢いだったけど「なんで中国っぽい人が日本語喋ってんの」の一言を紅炎に聞かれてから始まる話。


ヒロインはただの日本人。
紅炎はもう一つの世界の事だと思ってみなぎる知識欲。


結構頭のいい大学も出て、文系で歴史とか社会系の教科が好きだったヒロインだから史実から今の日本の政治までかなり理解が深かったり。
だから毎日紅炎の時間がある時にずっと話してても全然自分がいた国について語りきれない。
だから暇な時間は紙と書くものを貸してもらって書き出してみたり、書物を見せてもらってそれと日本との比較をしてみたりしてる。


「それで、…こうなって…だから…」
「…そうか、それで?」
「はい、そうしたら…」



最初は何か変なことを言ってしまったら殺されてしまうかもしれない、そんな恐怖が多かったけど、徐々に打ち解けて行く。



「…なまえ、こっちにこい」
「?はい」
「…お前は、暖かいな…」
「あの、お、おろしてくださ…」
「このままでも、話せるだろう」 
「…はい」



「…それでですね、これに対する政策というのが…」
「……あぁ、」
「もしかして、眠いのですか?」
「いや、そんなことは……まあ、そうだな」
「ふふ、じゃあ私の国のおとぎ話をしましょう」



部屋の大きな椅子に座って書物を広げる紅炎の膝の上に収まるのが定位置のヒロイン。
紅炎は、違う世界から来たというヒロインは語っても語っても語りきれないほどの知識を持っている興味深い存在なだけだったけど、次第に日本から来ただけあってマギの世界の人から見れば平和ボケしているその緊張感の無さというかいくら聞いても歴史的事実で戦争などは出てくるけど自分は一切経験していない戦いというもへの無知さ、それ故の周りの人にはない思考や性格を気に入る。



無防備に歩く。
無防備に話す。
自分の前で無防備に寝る。
話したことのない他人と接する時は少し警戒しているように見えなくもないが、すぐにそれも解ける。
常に武器を持っているわけでもなく、だからといって身一つで戦えるわけでもない。


聞けば、聞いたことのない国、違う世界に住んでいて、そこには争いなどなく、それでいて高い水準の暮らしが保たれている。
自信はないが、と書き出した世界地図は自分が知っている世界とは全く異なっていた。

あれほどの内容を、たった一人で、何日も語れるほど作れるものか。
いや、無理だ。

ということは、彼女の言っている事は本当の事で。


いきなり住んでいるところから投げ出された、浮世離れした彼女。



この世界の根幹を揺るがすかもしれない、そんな彼女を手放すわけがない。

例え、流れに関係を持っていなくとも。
絶対に手放すことはないのだろうけど。



彼女と同時に手に入れたのは、優越感と、独占欲だった。






一方、ヒロインは。
紅炎から聞いたこの世界のこと。
極端に言えば、戦いが絶えない。
昔あったのは知っているけど、まさか実際に同じ時に生きているとは思わなかった奴隷の存在。



もし、捨てられたら。



話せる事が尽きて、もう何も言えなくなって、私から何も聞き出せなくなったと知った煌帝国は、私に何をするのだろうか。
用は無いから捨てられる?
奴隷にされる?
…煌帝国について、いろいろ教えてもらってしまった私は、殺されてしまう?

死にたくない
辛い思いはしたくない

でも
もう、何を言えばいいのかわからない。





一度考えついてしまった最悪のシナリオにそれ以外が考えられないヒロインとそれに気づかない紅炎。



誤解を解いてらぶらぶーでもいいしヒロインが帰りたい、と呟いたのを聞いた紅炎のヤンデレでもいい。
紅炎さまほんとかっこいい。


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テーマ「人外ファンタジー」
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