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君にいえなかったことがある



昔から、こんな容姿、性格のせいで、俺には友達がいなかった。
みんなが俺を怖がり、近付かなかったが、コイツだけは違った。




『シロちゃん!』





―――雛森 桃。



コイツは俺を怖がらずに、普通に接し、笑顔を向けてくれた。


『なんだよ、寝ションベン桃』

素直でなく、可愛げが無い俺とは対照的に、桃は素直で、誰にも優しかった。


からかうとムッとするが、次の瞬間には笑顔に変わっていた。



(この笑顔を守りたい)(誰よりも近くで)




いつしか、そんなことを思うようになっていた。

















「日番谷くん、どうしたの?ボーっとして」



ハッとして前をみると、さっきまで考えていた人の姿が。



「…桃、」



久しぶりにその名を呼ぶと、桃を一瞬驚いて、ニッコリ笑った。




「なぁに、シロちゃん?」






幼い頃は、恥ずかしくて言えなかったあの言葉。





今なら、言えるだろうか?







“     ”








(本人には、『何かあったの?』と、笑われてしまったけれど。)




君に言えなかったことがある

ありがとう / 君にお礼を言いたかったこと




END