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あのね、私好きな人ができたかも


剣心は薫殿を見つめていると心臓が痛いでござる、といつだったか俺にもらした。
なんで薫を見てるだけで心臓が痛くなるのかよくわからなかったから、とりあえず剣心に大丈夫なのか?と返したことを覚えている。

身を持って痛さを感じているのは、今ー…



歩いているだけだ。
ただ、街道を
隣に並んでいるのは、
燕。

「ごめんなさい、付き合わせちゃって…」

「いや、付いてくってったの俺だしな。」

いつもだったら“気にすんな”とか言える(燕は人一倍他人に気を遣うから)なのに今日は
言えねぇ…
柄でもなく、正直に言ってしまうと燕がまぶしい。太陽光とかそうゆうものではなく、ひとつひとつの動作や仕草がきらきらするのだ
そして一番おかしいのが拍動数。やたら早くて顔に血が集まる。

話すだけなのに
目が合うだけなのに
ただそれだけなのに
…苦しい

「久しぶりだね」

「な、何がだよ?」

「こうやって一緒にゆっくりいるの」

「…そう、だよなぁ」

よく考えてみたら、
ほんとに久しぶりだった。
稽古やら何やらでろくに燕と会えてなかった。
…ひと月ぶりくらい、か?
だから、燕が違ってみえる?

「笑わない?」

「え?」

「…なんだか今日の弥彦くんはきらきらして、見惚れちゃう、の」

ばくん!
心臓が大きく脈を打った。
苦しいなんてもんじゃない。痛い。

(同じこと、考えて…)

でも、
胸に沸き上がるこの感情は間違いなく、
嬉しい

「あのさ…お前こそ、笑わねぇ?」

「え?」

「俺も燕のこと、そう思ってた。」

こんな風になるのも相手が燕だからだ。
燕のもたらしてくれるこんな甘酸っぱい痛みならいくらでも、

「…そんなこと言ったら、自惚れちゃうよ?」

「?」

最後に真っ赤な顔で俯きながら「わからないなら…いいよ」と呟いたのが聞こえた。

(…真っ赤な姿をみてまた、高鳴った)

「でも、聞いて、あ、あのね…


あのね、私好きな人ができたかも
〈まだまだ気付かない少年〉







しゅんさん、ありがとうございましたぁぁあ!
ちょ、素敵すぎません?
すごくすごく幸せです♪

ほのぼのしていて、とっても気に入りましたw

本当にありがとうございました!