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素直に言えない



雪の積もった、ある寒い日のナッツハウス。
その中では、ある2人の間で、熱い火花が散っていた。

シロップとうららである。

普段は熱いというより、温かい雰囲気で、いつも仲が良い2人だったが、今日は違った。

否、仲が良すぎた。



「私だもん!」



「俺だ!」



珍しい光景に、遅れてきたのぞみは目をパチクリさせる。



「りんちゃん、2人とも、ど、どうしちゃったの〜?」




「のぞみ…。それがさ…」


しかし、りんの言葉は、2人の間に割って入ったシロップとうららに遮られた。



「のぞみさん!聞いて下さい!シロップってば…!」



「おいのぞみ!聞いてくれよ!コイツがさぁ…!」



「え、えぇ??」



普段めったに怒らないうららが相当怒っているのを見て、のぞみはたじろいだ。



30分ほど前、りんたちが来た時にはすでに口論は始まっていた。
だから、一体何が理由なのか、誰も知らなかった。



「ねぇ、シロップ、うらら?どうしてケンカしたの?」



のぞみは優しく問いかける。



「のぞみさん達はどっちだと思いますか?」



「え?何が?」



「私とシロップ…どっちの方がより相手を想ってると思いますか!?」












・・・・・はい?


みんなは口をポカンとあけるが、2人はいたって真剣だ。



「私の方が…シロップの事大好きですよね!」



「んなっ!俺だってお前が…」



「だってシロップ!この前ラブレターもらって、喜んでたもん!」




「それをいうなら、うららだって手紙毎日もらってんじゃねーか!」




「あれはファンレターだよ!」



シロップとうらら以外は顔を見合わせた。




(つまり…ただのヤキモキ?)
(…っていうか、)





大好きならケンカしないでよ…!



みんなは心の中で叫んだ。しかし、その声が口論中の2人に届くはずもなく、だんだんヒートアップしてくる。




「だって…シロップ、私の名前、あんまりよんでくれないじゃない!」




「そ、それは…」




シロップが顔を赤らめて言葉を詰まらせる。




「のぞみさんや、ほかのみなさんは、ちゃんと名前で呼ぶのに、私には、お前とか、コイツとか…」




うららの目にはみるみるうちに涙が溜まっていく。





「告白したのも私で…!シロップ、私にちゃんと『好き』とか、『愛してる』とか言ってくれた事ないんだもん!」




そのうららの言葉に、みんなはシロップを呆れたような目で見る。

シロップは、その視線に気づき、顔を背けた。





「シ、シロップ優しいから、本当は私の告白を、断れなかっただけなんじゃないかって…思ってしまって…」



ついにうららは泣き出してしまった。



「シロップ…あんたまだ『好き』って言ったことなかったの!?」



くるみがシロップに詰め寄る。



「しょ、しょうがねぇだろ!俺がそんなこというように見えるか!?」



「そうじゃないでしょ!?告白も女の子にさせといて、自分の気持ちを素直に言わないなんて、あんたそれでも男なの!?」



「う゛っ…。」




周りのみんなもくるみに同意して頷く。




「…わかったよ。」




シロップは意を決したように拳を握りしめた。





「うらら」




目に涙を溜めたまま、うららはパッと顔をあげる。



「そのごめん、な。悪かったよ…。お前が…うららがそこまで不安になってるって…知らなかったんだ。」



一人…また一人と、こっそり部屋から出て行く。



「シロップ…」



「名前も、あんまり呼ばなかったのは…恥ずかしかったんだ。それで…呼べなかった。でも、」



ついに誰もいなくなり、部屋にはシロップとうららの2人だけ…。

シロップは真っ直ぐにうららを見つめ、うららも見つめ返す。












「でも、俺は…、お前が…
うららが好きだ!」



「・・・!」




うららは目を見開き、シロップに抱きついた。



「う、うらら?」



真っ赤になったシロップに、うららは笑いかけた。






「シロップ、大好き!!」





END







詩亜様への、相互記念小説でした(^_^;)
悲しいほどの駄文ですね…
詩亜様、すみません!
そして、相互リンクありがとうございました!