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世界一の綺麗な魚


どうしても連れていきたい場所があった。
最近のうららはがんばり過ぎだから少しでも羽休めになればいいと思いデートに誘った。
当日。


「え…ここ水族館?」

行き先を秘密にしていたこともあり、うららはびっくりしているようだ。

「…嫌か?」
「ううん、違う!大好き!ただ…シロップが水族館なんてちょっと意外かなって…」
「悪かったな、意外で」

少し機嫌悪いフリをしてチケットを買いに行こうと歩き出すと服を引っ張られた。
振り向くと本当に怒ってるのかと少し困惑しながら、必死に謝ろうとするうららがいた。

「あの…そんなつもりで言ったんじゃなくて…えと…ごめんなさい…」

あまりにも真剣なのでつい噴き出す。

「…ふっ…あはは!ばーか、冗談だよ!」
「…じょ、冗談…?…もう!」

クスクス笑ううららの表情が照れたような怒ったような笑顔で少しだけドキドキした。
いつもと少し違う笑顔を見たからだ。
水族館に入るといきなり目に飛び込んできたのは大きな水槽のたくさんの魚だった。「きれーい…」
「あぁ…」

うららは魚を見て笑顔になった。次の水槽を見ても、その次の水槽を見ても笑顔が絶えることはなかった。

「あ、可愛い!ほら!見て!」

疲れを忘れてはしゃぐうららが微笑ましい。
そしてすごく可愛らしかった。
その後もイルカやペンギンを見て更にはしゃいでいた。
そしてある水槽の前でピタリとうららが立ち止まった。

「綺麗…今まで見た中で一番綺麗かも…」
「あー…確かに綺麗だな。…けど俺、もっと綺麗なやつ見たことあるぞ」
「あ、そっか!シロップはこっちに来るまでいろんな世界にいたんだもんね!…どんな魚?」
「………人魚」
「……人魚?」

きょとんと質問するうららをチラリと横目で見た後、視線を水槽に戻した。

「綺麗な声で歌う…いつも笑顔な人魚なんだけど、ある日歌声を奪われたんだ。…人魚は歌声と交換であるものを渡すように言われた…。けど自分の歌声や夢より他人との約束や夢を優先して、バカみたいにそれを渡そうとしなかった。」
「あ…」
「その時思ったんだ。うららは綺麗な心を持っている、本当に綺麗な人魚だなって。」
「…シロップ」
少し照れて俯くうららにとどめを刺した。
「でも最近頑張りすぎなんだよなー…」
「え…」
「気持ちわからないでもないけど、もっと肩の力を抜いて魚みたいにのんびりゆらゆら泳いでみろよ。慌てないでゆっくりさ。」
「…うん。…シロップ、ありがとう!」

安心しきったような笑顔を見せた。
その笑顔に心臓が跳ね上がった。
…本当に綺麗な笑顔だった。

「…お前、その顔誰にも見せるなよ…」
「え…?」
「わかったな!」
「え…。う…うん…?…あ!今度プールに行こうね!」
「…プールぅ?」
「嫌?」
「嫌じゃねぇけど…」

(今度は水着姿を死守しないとな…)

おわり。







詩亜さんから15000hit記念でいただきましたぁーv
水族館でラブラブデートw
キャーキャー!
かわえぇーv

ありがとうございました☆