「シロップ!」
「…うらら」
ナッツハウスに着くなり、うららはシロップに駆け寄った。
「どうした?」
「あのね、これ!」
そういって差し出されたのは…
「…クッキー…?作ったのか?」
「うん!」
黄色のリボンで可愛くラッピングされたそれを、シロップはうららから受け取った。
「食べてみて?」
「お、俺が?いいのか?」
うららはニッコリとうなづく。
シロップは香ばしい匂いのするそれをひとつ手にとり、ほおばった。
「…!うまい…!」
「本当!?」
「あぁ」
心底嬉しそうなうららにつられ、シロップも微笑むが、次の言葉で彼は固まった。
「これでみんなに食べてもらっても大丈夫だね!」
・・・・・『みんな』!?
シロップはニコニコしているうららを、ポカンとした顔で見つめた。
(…あぁ…なんだ、俺だけにくれたんじゃないんだ。)
「…なんだよ、俺は毒味役か?」
拗ねたシロップはうららに意地悪な言い方をする。
「えっ…え!?ち、違うよ!」
突然態度が変わったシロップに、焦るうらら。
そんな彼女の姿に、シロップは思わず吹き出した。
「…ぷっ。あはははっ!冗談だよ、冗談!」
「じょ、冗談…!?」
真っ赤になりながらもうららは安堵の表情を見せた。
「…ちょっと…拗ねただけだよ」
「…?」
「……なんでもないっ!サンキューな、うらら」
「う、うん」
意味はよくわからないままだったが、おいしそうにクッキーを食べるシロップをみて、うららは微笑んだ。
「シロップ、あのね…」
「ん?」
sweet time (シロップに一番に食べて欲しかったの)
(………え!?)← →