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君はサンタクロース


12月下旬、少年は悩んでいた。
原因は…隣でフラフラとしているツインテールの少女。

「おい、…うらら?大丈夫か?」

「…へ…?…あ、ご、ごめんなさい!」

うららは慌てて作業を再開した。そんな彼女をシロップは心配そうに見つめた。

今日はクリスマスイヴ。ナッツハウスは大繁盛だ。しかし、年末もすぐにやって来る。
ということでシロップとうららは片付けの方の担当になったのだった。

ところが、最近仕事が忙しいのか、うららはお疲れのようで、30分くらい経つと、ボーッとし始めるのだった。

「…なんか眠そうだけど…ちゃんと寝てるのか?」

「う、うん…寝てるよ」

「じゃあ、なんか悩み事でもあるんじゃ…」

「大丈夫だよぉ。心配症だなぁシロップは」

『あはは』と笑ううららの顔には、やはりいつもの元気がない。

「…なんか悩みがあるなら言えよ?…その…話くらいなら俺でも聞けるし…」

「…うん。ありがとう」

照れながらもボソボソと言ったシロップに、うららは微笑んだ。




「…あ!もうこんな時間!?仕事行かなきゃ…」「え…送ってこうか?」

「んーん、寒いし、いいよ。心配かけてごめんね、シロップ」

「いや…クリスマスイヴだってのに大変だな」

「うーん…でも、すごくたのしいんだよ」

そういうと、うららは慌てて階段に駆け寄った。

「じゃあ…行ってきます!」

「あぁ」









(…大丈夫かな…うらら)

昼の様子を思い出し、シロップはまた心配になって、いてもたってもいられなくなった。



「ちょっとシロップ!どこ行くのよ!もうご飯よ!?」

「ちょ、ちょっと散歩!」

「散歩ぉ!?」

くるみの制止をやっとのことで振り切ってシロップはとりあえずうららの家に向かおうとした。ところが

『し、シロップ〜』

「うらら…!?」

美しい髪をなびかせながら、うららはシロップに駆け寄ってきた。

「お前…仕事…!?」

「仕事はもう終わったの」

『それより、』とうららがかばんから何か取り出したかと思うと、シロップの首に、柔らかい感触が。

「え…これ…マフラー…?」

「うん。…クリスマスプレゼント!」

「…うららが…つくったのか…?」

オレンジ色のマフラーとうららの顔を交互にまじまじと見ながらシロップは問う。

「…うん…初めてだから…あまり上手くないけど…」

頬を染めながらニッコリ笑ううららの目の下にはうっすらとクマが。

(仕事や悩みじゃない…俺のためにうららは…)

気がつけば、シロップはうららを抱き寄せていた。

「し、ししシロップっ…!?」

目を白黒させ、うららは慌てたが、次第に落ち着いた。

「…うらら…ありがと、な」

「…うん…」



お互いに顔を真っ赤に染めながらも、二人は幸せそうに笑った。






君はサンタクロース
((メリークリスマス!))





End