「はぁ…。」
ここは私、春日野うららの控え室。今、夜の10時です。
やっとお仕事が終わって、気がついたら外は真っ暗でした。
今日はマネージャーさんが急用で休みなので、帰りは一人…
正直、夜道を一人は怖いです。
でも、たまにはいいかなって思ったり。
最近、忙しくて、ナッツハウスに行っていません。
行きたいけれど、いつもこの時間になっちゃうから。
たくさんお仕事がもらえて嬉しいんですけど、たまに寂しくなります。学校に行っても、お昼前にはお仕事で学校を出なければならなくって…
のぞみさんたちや、シロップにもここ二週間あえてません。
私のことを忘れられたら、どうしよう…
そんなことを考えてしまいます。
私なんて必要ないかもしれない。
私は、その程度の存在…
どんどん悪い方に考えてしまって、やっぱり不安になるんです。
寂しい、寂しい、サビシイ…
みんなに、会いたい
シロップに、会いたい。
でも、こんな時間に行ったらきっと迷惑だよね。
「…はあ…。」
とぼとぼと歩いていると、一階に見知った影。
「し、シロップ!?」
「よぉ。」
…夢?夢かも。
私はほっぺをつねる。
「…何してんだよ…」
呆れ気味の顔で私をみてくるシロップ。
「ゆ、夢かと思って…」
「はぁ?」
「だって、まさかシロップが会いに来てくれるなんて…」
そういうと、シロップは瞬時に顔を赤く染め上げた。
「ばっ、俺はだなあ!のぞみ達に無理やり…」
『無理やり』と聞いてズキンと胸が痛む。
そうだよね、シロップが私にすすんで会いに来てくれるなんて…
「そうだよね、ゴメンね、シロップ。」
「え…」
『ありがとう』の言葉よりさきに『ゴメンね』がでてきてしまった。
「私…、私、すごく寂しかった。みんなや…シロップに会いたかった。だから、シロップが来てくれて嬉しかったよ。」
「…。」
「ありがとう、シロップ。」
困らせて、ゴメンね。
シロップは黙ってしまった。
「あの…さ、うらら。」
「…?」
シロップが頭を掻きながら照れくさそうに言った。
「さっきの、あの…嘘だから。」
「え…?」
「俺も…その、お前、どうしてんのかなぁって思って…」
「…!」
「俺も…アイツらも…お前に会いたかったんだよ。」
驚いた。シロップの言葉で、私の不安は消え去った。
「お前がいないと、みんな静かでさ…。俺達にはお前が必要なんだよ。」
まるで私の心が読めるかのように、シロップは不安をつぶしていった。
「ありがとう、シロップ…」
あなたが私と同じことを考えていた。
私の気持ちをあなたがわかってくれた。
たったこれだけで、私は幸せになれるのです。
以心伝心
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